コカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社 様
圧倒的な規模と高度な自動化により物流・販売ネットワークを最適化
コカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社は、埼玉県比企郡の埼玉工場敷地内に同社最大級の保管・出荷能力を持つ「埼玉メガDC」を新設し、2021年2月に稼働を開始しました。
同社は2016年5月より、市場環境の変化や多様化する消費者ニーズに迅速に対応するために物流ネットワークを最適化し、“高品質で低コスト、安定したサプライチェーン”の実現を目指す「新生プロジェクト」に取り組んでいます。
その一環として、東京都と埼玉県の全エリアの物流を担う基幹拠点として建設されたのが「埼玉メガDC」です。
物流業務の集約と自動化により、作業効率向上を実現
埼玉メガDCは、東京・埼玉エリアで24カ所に分散していた物流拠点を集約した大規模物流センターです。これまで各拠点で行っていたすべての物流業務を取り込んでいます。埼玉工場はもとより他の拠点で製造された主力製品の「コカ・コーラ」をはじめ、各種清涼飲料水など、さまざまなコカ・コーラ社製品をスーパーマーケットやコンビニエンスストア、ドラッグストア、さらに自動販売機向けに荷合わせして出荷しています。
保管設備には、格納効率の高いダブルディープ方式のパレット自動倉庫と高能力ケース荷揃えシステム「シャトルラックM」を採用。高速搬送台車、混載パレタイジングロボット、レイヤーデパレタイザー、RORO(ロールオン/ロールオフ)ステーション(※後述)なども導入し、DC内の物流業務を全工程にわたり自動化しています。
物流業務の大規模な効率化を図るとともに、製造から納品先、そして自動販売機に向けてタイムリーに製品を供給するまでのサプライチェーンが構築されました。
同社の執行役員SCM本部長であるブルース・ハーバート様は、「埼玉メガDCの先進性は、コカ・コーラシステムが世界で展開している自動化システムの中でもトップ10に入ると言っても過言ではありません」と話します。
埼玉メガDCでの物流の流れとしては、敷地内の工場から直接入荷する場合と、各地の製造拠点から輸送して受け入れる場合の2通りがあります。埼玉工場で製造した製品はパレタイズされてから入荷します。他工場で製造されたパレタイズ製品と合流し、コンベヤからリフター、高速搬送台車を経由して3階からパレット自動倉庫に入庫します。保管は1パレット1製品で行い、急ぎで出荷する製品は1階から入庫します。混載パレタイズを行う製品は3階から出庫し、レイヤーデパレタイザーでケース単位にされた後、コンベヤで搬送され、2階のシャトルラックMに一時保管されます。
出荷の際は、シャトルラックMからケースが出庫され、同じフロアにある混載パレタイジングロボットのステーションに搬送されます。パレタイジングロボットは、さまざまな形や大きさのプラスチック製のクレートやトート、段ボールのケースをそれぞれパレットに混載していきます。
従来は、別々の拠点で荷合わせを行っていましたが、混載パレタイジングロボットを使うことで、この工程をすべて集約することができ、大幅な効率化につながりました。
混載パレットの積み付けが完了すると、ラッピングマシンを経由して、高速搬送台車、リフターにより1階の出荷エリアへ搬送されます。
出荷エリアでは、高速搬送台車とスタッカークレーンにより出荷先別にトラック1台分を荷揃えできる多段式の傾斜式流動棚で構成されたステージングレーンに投入します。トラックが着床すると、荷物の積み込み・積み降ろしを一度で行います。
荷物の積み込み・降ろしを自動化し、入出荷を3分の1の時間に短縮
ステージングレーンには、ROROステーションが2式設置されています。日本で初めて導入されたROROステーションは、トラックの荷物を一括して積み込み・降ろしができる全自動の設備です。フォークリフトでは約60分かかるトラックへの積み込み・降ろしが、ROROステーションではわずか20分で完了します。
これら自動化設備を導入することにより、埼玉メガDCは現在、同社最大級の年間8,500万ケースの出荷能力を誇ります。
高品質の製品を迅速に安定供給できる体制を、より高度な自動化レベルで構築した一大拠点である埼玉メガDCは、今後、コカ・コーラシステムの持続的成長の基盤となることが期待されます。
「私たちは、単に倉庫を運営しているのではなく、ネットワークを運営しているのです。つまり、従来は別々に行っていたエンド・ツー・エンドのプロセスまで管理することで、大規模な効率化を図っています。埼玉メガDCを皮切りにして、各地域で従来モデルから先進モデルへの変革を進めています」(ハーバート様)。
トラックへの積み込み・降ろしを最大限に効率化した「ROROステーション」
「RORO(ロールオン/ロールオフ)ステーション」は、トラックへの荷物の積み込みや積み降ろしを一括で行えるように自動化したステーションです。作業の大幅な効率化による出荷・入荷時間の短縮に貢献します。
物流システム 設備概要
パレット自動倉庫 | ダブルディープ方式、スタッカークレーン12基、格納数6万パレット(既存倉庫分1万5,000含む) |
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「シャトルラックM」 | 21システム、462台車、格納数7万4,000ケース |
高速搬送台車 | 1階24台、2階3台、3階15台 |
レイヤーデパレタイザー | 8台 |
混載パレタイジングロボット | 21台 |
ROROステーション | 2式 |
ステージングレーン | 100レーン |
埼玉メガDC 概要
所在地:埼玉県比企郡吉見町下細谷943-1 コカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社(埼玉工場敷地内)
建築面積:1万4,747m2
延べ床面積:2万3,548m2(地上3階建て)
稼働開始:2021年2月
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