コンプライアンス
基本的な考え方
ダイフクグループにおけるコンプライアンスとは、事業活動のあらゆる局面において、法令や会社規程など社内外のルールにとどまらず、社会規範を遵守し、誠実に行動することを意味します。当社グループでは、すべての役員および従業員が実践すべき行動のありかたを示した「グループ行動規範」を制定し、小冊子の配布や研修などによりグループ全体でコンプライアンス意識の徹底を図っています。
グループ行動規範(抜粋)
基本姿勢
- 私たちは、法令・社会規範や倫理に照らして、正しく行動します。
- 私たちは、事業活動のあらゆる局面において、なによりも安全を優先します。
- 私たちは、「日新」の気持ちを常に忘れず、たゆまぬ挑戦と変革を続けます。
1. コンプライアンス
事業活動のあらゆる局面において、各国の法令や社会規範を遵守し、誠実に行動します。
推進体制
当社グループのすべての役員および従業員が、業界のリーディングカンパニーとしての使命と役割を自覚し、関係法令、定款、グループ行動規範および諸規程等を遵守し、透明性の高いグローバル経営を行うため、CEOを委員長とする「コンプライアンス委員会」を設置しています。取締役会の諮問機関である同委員会は、全取締役・執行役員・子会社責任者を委員とし、諸規程類に関して重大なコンプライアンス違反が発生した場合、調査や対応における司令塔の役割を果たしています。なお、当社のグループ行動規範は時代の変化に合わせて見直しを行い、取締役会がその内容を精査の上、承認しています。
また、法務・コンプライアンス本部では、法務関連業務に加え、従業員一人ひとりが法令遵守にとどまらず、社会規範に沿った誠実な行動ができるよう、贈収賄防止、競争法違反防止などのコンプライアンス関連規程の整備および運用を行っています。
監査本部は、法務・コンプライアンス本部の腐敗を含む不正防止への取り組みについて、実効性の評価を行うとともに内部監査を通じて不正の有無を確認しています。重要な事項は適宜取締役会へ報告しています。
主な取り組み
内部通報制度
当社では、法令違反や社内規定違反につながるような不正や不祥事を早期に発見し、適正に対処するため、内部通報制度を設けています。内部通報窓口は、社内窓口のほか、多言語で対応する社外窓口(中立性のある外部委託業者)を設置しています。
この窓口は匿名での通報を可能としており、当社および当社グループ会社の役員・従業員のほか、継続的に取引のあるお取引先様も利用できます。本制度を有効に活用していくため、運用ルールを内部通報制度規程とその運用基準に定めており、これらは公益通報者保護法上の内部通報制度としての機能を包含しています。
ルールの主な内容としては、運用を内部通報事務局が担当し、通報内容の事実関係の確認、対応方針の決定および調査等を実施します。調査方法は、通報事案の重大さ、緊急度、経営層の関与の有無により異なりますが、調査の結果、コンプライアンス上の問題があったときは、行為の是正と再発防止の措置を講じます。重要な問題については、コンプライアンス委員会や監査役会に報告します。また、内部通報業務に携わる者に対しては、守秘義務を課すとともに、通報者が通報したことを理由に不利益な取扱いを行わないよう通報者の保護を図っています。
本制度の実効性を高めるため、経営トップが社内ネットワークを通じたメッセージの発信や継続的な従業員へのコンプライアンス研修を実施しています。特に、通報者が公益通報者保護法に基づく法的保護を受けることはもとより、通報したことにより通報者が報復を受けず、安心して利用できる制度であることを周知し、本制度の信頼度向上に取り組んでいます。
2021年度の内部通報窓口の利用件数は6件で、通報の内容は労務(5件)、不正行為(1件)に関するものでした。
腐敗防止
当社では、経営理念に人権尊重を謳い、グループ行動規範においても、人権尊重とともに法令・社会規範や倫理に照らして、正しく行動することを定め、腐敗防止・贈収賄防止にグループ全体で取り組んでいます。また、当社は2014年に国連グローバル・コンパクトに署名し、4分野10原則にある腐敗防止の姿勢を明確にしています。
贈収賄問題は企業価値の毀損に直結する重大なリスクであり、法の支配が確立していない新興国・途上国における贈賄への関与は、相手国政府による規制の適正な執行をゆがめ、当該国の社会全体の腐敗を助長することにつながる可能性があります。そのため、当社では、「接待・贈答の供与に関するグループ規程」と「接待・贈答の収受に関するグループ規程」を制定し、当社グループの役員、従業員が透明性のある取引を行うための行動指針を定めています。また、接待・贈答の供与に関する「贈賄防止細則」をリスクの高い国々について制定し、接待・贈答、旅費負担、代理店・コンサルタント等との契約、ファシリテーションペイメント等について禁止行為を定義するとともに、実施にあたっての具体的な手続きを明確化しています。さらに、制度の趣旨をより理解しやすく、かつ、広く浸透させる目的で一人ひとりが日々の業務で使用できるQ&A形式のガイドラインを作成しています。こうして社内ルールで定められた内容に基づき、不正な利益供与や収受がないかを確認し、その運用状況については、内部監査で定期的に実態確認を行っています。
内部監査では、腐敗防止策の運用や安全保障貿易管理等含め、当社グループにおけるコンプライアンスの状況を定期的な監査や継続的なモニタリングで確認しており、問題が発見された場合には是正措置を講じるよう指導しています。
コンプライアンス研修・教育
腐敗防止をはじめとするコンプライアンスに対する当社グループの方針を従業員に伝えるため、CEOから全従業員に対し、コンプライアンスに関するメッセージを社内ネットワークで発信しているほか、企業倫理の周知徹底を図るため、全従業員を対象とした各種研修会において定期的にコンプライアンス教育・啓発活動を行っています。
事業のグローバル化に伴い、さまざまな国や地域との取引も増えているため、各国の腐敗防止法令や安全保障輸出管理法制といった各種法令の遵守に加え、人権の尊重や職業倫理に関する講習を行い、コンプライアンス意識の浸透と定着を図っています。
2021年度は腐敗防止を含めコンプライアンスに関する研修・教育を18種類実施しました。中でも、贈収賄防止については日本語と英語で資料を作成の上eラーニングを実施し、受発注権限を持つ国内外の対象者に向けた研修とフォローアップに注力しました。また、2021年4月、グループ行動規範の各項目の解説、具体的事例やFAQなどを盛り込んだ「ダイフクグループ コンプライアンス・ガイドブック」を多言語で作成し、同ガイドブックやコンプライアンスの考え方に関するeラーニングを順次実施しています。
実施した研修の例
- 贈収賄・競争法に関する研修
- 階層別研修
- 海外赴任者向け研修
- 事業部別研修
- 新入社員研修
コンプライアンス強化月間
当社では、毎年10月を「コンプライアンス強化月間」と定め、コンプライアンスに対する意識を高めるための取り組みを実施しています。2021年度は、「ガバナンス」に関して、法律専門家の講演と社外取締役を含めた経営層のパネルディスカッションセミナーをオンライン(Teams)で開催しました。その録画を後日社内ネットワークで日本語、英語でグローバルに動画配信し、社内報にも掲載しました。こうした施策を通じ、従業員にコンプライアンスを身近に感じてもらうよう取り組んでいます。
反競争的行為の防止
当社グループは、グループ行動規範において、競争法をはじめとするルールの遵守および公正な取引を推進する姿勢を明示しています。また、競争法遵守についてCEOより、社内ネットワークを通じて「コンプライアンス違反をして利益を得る行為を認めない」姿勢を明確に述べたメッセージの発信を行っています。
反社会的勢力への対応
当社グループは、市民社会の秩序や安全に脅威を与える勢力・団体には毅然として対応し、一切関係を持たないという方針をグループ行動規範に定め、当社グループの役員・従業員全員に周知徹底しています。
政治・行政との関係
政治活動に関して、特定の政党や政治家に対する寄付および便宜の提供等の支援は行いません。政治献金や各種団体等へ寄付やその他の支援を行う場合には、関係法令を遵守し、適正な手続きと方法に従います。2021年度、政治献金の拠出はありません。
英国における税務戦略
当社グループは、マテリアルハンドリングを核とする「モノを動かす技術」で社会価値と経済価値の両立を図り、さらなる成長を目指しています。適切で公正な納税を実施し、国や地域の発展に寄与するとともに、英国における税務戦略を開示しています。