人権
ダイフクグループ人権方針
基本的な考え方
ダイフクグループは、社是「日新(ひにあらた)」の精神の下、創業以来変化する社会のニーズと課題に向き合ってきました。経営理念「モノを動かし、心を動かす。」は、マテリアルハンドリングを核とする「モノを動かす技術」で人が心豊かに生きられる社会を創造する、という決意を表しています。また、経営理念並びにグループ行動規範において「人権の尊重」を謳い、一人ひとりが自らの力を最大限発揮できる環境づくりに努めています。私たちは、「人権の尊重」が、事業と組織の持続的な成長における最も重要な責任の一つであると認識し、事業活動を通じて起こり得る人権の負の影響を最小化することにより、その責任を果たします。
この方針は、ダイフクグループの事業活動を行う上で人権に関する考え方を明確にするものであり、ダイフクグループのすべての役員、従業員に適用されます。サプライチェーンを含め、事業に関連するビジネスパートナーにも、この方針に基づく理解と実践を期待し、人権尊重を協働して推進します。また、その実現のために、株式会社ダイフクの代表取締役社長を人権に関わる責任者とした社内体制を整備し、継続的な取り組みを実施します。
ダイフクグループ人権方針の詳細は以下のPDF(6言語対応)をご参照ください。
なお、主要取引先については、当社グループと共に人権尊重の取り組み推進に向けて歩みを進めていただくため、人権方針の同意書を取得しています。(同意書の取得率90%)
推進体制
CEOを委員長、各事業部門長を委員とするグループ横断的なサステナビリティ推進委員会を組織しています。その傘下に調達、人事総務、法務、サステナビリティ推進等の複数部門からの選任者で構成する「人権・サプライチェーン分科会」を設け、人権デュー・ディリジェンスの体制構築や実務の管理を行っています。重要な項目については、適宜取締役会に報告しています。日常的な人権尊重の取り組みは事務局であるサステナビリティ推進部が担当し、関係部署と連携して進めています。
主な取り組み
人権デュー・ディリジェンス(人権DD)への取り組み
当社のサプライチェーンを含め事業活動全般に関係する人権への負の影響を特定・分析・評価し、是正・緩和・予防する仕組みの構築と運用および人権DDを継続的に実施するためのリスク評価に取り組んでいます。その一環として、人権への負の影響評価および人権課題を特定するための「人権リスクアセスメント(潜在的リスク評価)」を実施した結果、当社グループが優先的に取り組むべき人権課題として「委託先を含むサプライチェーン上の国内の外国人労働者」と「原材料調達先の労働者」を特定しました。
リスクアセスメントは、外部有識者(NPO法人経済人コー円卓会議日本委員会、以下、「CRT日本委員会」といいます)の助言を得ながらUNGPsに沿った人権DDとしての潜在的リスク評価を実施しました。具体的には、社内アンケートから関連するバリューチェーンや影響を受けるライツホルダーの洗い出しを行ったり、CRT日本委員会が行った人権リスク調査結果を用いて、当社グループの事業活動においてリスクの高い国を調査したほか、社内ワークショップやリスクの高い地域にある現地法人へのヒアリングを通じて、優先課題を特定しています。また、サプライチェーンへのヒアリング等を実施し、人権の負の影響や助長が明らかとなった場合には、適切かつ効果的な救済措置を講じていきます。
グローバル展開
2023年度から人権DDを段階的に海外現地法人にも展開しています。2023年4月にCRT日本委員会の石田寛事務局長を講師に迎え、「ビジネスと人権の理解」をテーマに役員および海外現地法人幹部向けの講演会を実施したほか、海外現地法人各社の人権尊重の取り組み状況を把握するため、リスクアセスメント調査票を配布して潜在的なリスクを確認しました。
なお、こうした活動をより実効性の高いものとするため、当社はグローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン主催のヒューマンライツデューデリジェンス(HRDD)分科会およびCRT日本委員会が主催するステークホルダー・エンゲージメントプログラムといった各種イニシアチブに参加し、業界固有の人権課題について理解を深め、人権尊重の取り組みに活かしています。
人権デュー・ディリジェンスのプロセス
当社は、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に則り、下図のプロセスに沿って人権デュー・ディリジェンスを行っています。
人権への負の影響の特定・分析・評価の実績
当社グループは、優先的に取り組むべき人権課題の一つである「委託先を含むサプライチェーン上の国内の外国人労働者」の人権への負の影響の特定のため、サプライチェーンにおける労働者の雇用実態の把握に努め、取引先で雇用される外国人労働者の訪問インタビューを行っています。
2023年度は、海外現地法人社員およびその取引先で雇用する外国人社員に対象を拡大し、タイと台湾のグループ会社とその取引先において訪問インタビューを実施しました。
<人権インパクトアセスメントの実施概要>
訪問インタビューは、客観性および中立性確保のためCRT日本委員会の協力のもと、取引先で雇用されている外国人労働者およびその管理者に対して実施しました。インタビューは、「尊厳ある移民のためのダッカ原則」に基づき、適正な労働時間・適正賃金、雇用契約、職場における健康と安全、結社の自由と団体交渉権やコミュニケーションなどの項目について重点的に確認を行いました。
<日本国内におけるインパクトアセスメントの実績>
取引先: ホッコー株式会社 |
取引先: 株式会社タムラ |
取引先: 東朋テクノロジー株式会社 |
取引先: 株式会社恵工業 |
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実施日 | 2023年2月 | 2023年2月 | 2023年11月 | 2023年12月 |
対象者 (国籍) (在留資格) |
外国人労働者4名 (ベトナム、中国) (特定技能2名、技能実習生2名) |
外国人労働者4名 (ベトナム) (特定技能2名、技能実習生2名) |
外国人労働者5名 (インドネシア) (技能実習生) |
外国人労働者4名 (タイ) (技能実習生) |
実施形式 | 対面グループインタビュー | |||
インタビュー項目 | 適正な労働時間・強制労働、適正賃金、健康と安全、結社の自由と団体交渉権など | |||
実施風景 ※CRT日本委員会提供 |
<海外におけるインパクトアセスメントの実績>
タイの現地法人:Daifuku (Thailand) Limited 取引先:Manus Prosystem Logistic Co., Ltd. |
台湾の現地法人:Taiwan Daifuku Co., Ltd. 取引先:Chih Kang Material Company Ltd. |
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実施日 | 2024年2月 | 2024年3月 |
対象者(国籍) | 現地法人社員20名(タイ、ミャンマー) 取引先社員4名(ミャンマー) |
現地法人社員19名(台湾) 取引先社員20名(ベトナム、フィリピン) |
実施形式 | 対面グループインタビュー | |
インタビュー項目 | 適正な労働時間・強制労働、適正賃金、健康と安全、結社の自由と団体交渉権など | |
実施風景 ※CRT日本委員会提供 |
<評価結果>
- 海外現地法人と取引先のいずれにおいても長時間労働および強制的な残業は確認されなかった。海外現地法人において、通常勤務に加えて顧客対応のためのシフト勤務を行う場合は、過重労働がないか、超過勤務・夜間勤務に対する処遇等は適切かの確認と適切な対応が望まれる。
- 入社時の安全教育の実施や、入社後の定期的な安全教育の受講を義務付けていることを確認でき、危険な状況下での作業は確認されなかった。
- 労働者の代表を通じて会社に意見を伝えることができる組織が存在していることが確認できた。その存在の趣旨や具体的な活用方法については、社内における周知徹底が望まれる。
<今後の対応>
インタビューの評価結果に基づき、優先順位の高い項目から改善策を講じ、人権への負の影響の防止・軽減につなげていきます。
第三者コメント
ダイフクグループでは、「ビジネスと人権に関する指導原則(以下、UNGPs)」に基づき、第三者機関(CRT日本委員会)を巻き込み、直接影響を及ぼせる範囲において、早期に人権デュー・ディリジェンスのプロセスを行いました。リスクアセスメントでは、関連部署を巻き込んだ形でのワークショップにおいて外国人労働者(技能実習生や特定技能)が人権テーマとして抽出され、インパクトアセスメントにおいて人権課題を特定するために、ライツホルダーとの直接対話を行いました。取引先各社では、外国人労働者を家族同然のように温かく見守っており、特段懸念すべき人権課題は見受けられませんでした。こうした素晴らしい取り組みについては、ダイフクグループ内でベストプラクティスとしてナレッジを共有していただくことを望んでいます。今回のUNGPsに基づいたマネジメント体制に基づく取り組みからの教訓を活かし、他の領域(海外)においても徐々に拡大していくことを期待しています。
CRT日本委員会 事務局長 石田 寛
人権デュー・ディリジェンスのスケジュール
- 2024年度
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- 国内・海外:顕在的リスク評価の継続
- 海外:人権課題への対処
- 国内:雇用状況調査の対象範囲拡大(サプライチェーンの見える化)による潜在的人権リスクの把握
サプライチェーンにおける人権配慮
当社では、安全や品質・コスト・納期に加えコンプライアンスや人権などの要素を盛り込んだ「サステナブル調達ガイドライン」を策定し、取引先の皆さまとともにサプライチェーン全体でサステナビリティの取り組みを推進しています。今後は、サプライチェーンも含め事業活動全般に関連する人権への負の影響を特定・評価し、是正・緩和・予防する人権デュー・ディリジェンスを進め、継続的な実施と改善に取り組みます。
人事相談室
当社は秘匿性を確保した「人事相談室」を設置し、人事制度、評価・処遇、職場環境、労働時間、ハラスメント、健康管理などに関する相談に対応しています。相談員は多岐にわたる相談内容に適切に対応できるよう定期的に外部講師による研修を受けており、具体的な事例を想定したグループワークやロールプレイングなどによりヒアリングスキルの向上に努めています。
人権に関する教育・啓発
2021年10月、経営理念の改定と同時にダイフクグループ人権方針を策定し、国内外のグループ会社を対象とした説明会を開催しました。その中で人権方針についてもCEOよりメッセージを発信し、事業を通じて影響を受ける可能性がある、あらゆるステークホルダーの人権尊重のために取り組む方針を周知しました。
新入社員、キャリア採用者、中堅社員、係長職などを対象に行う階層別研修では、人権に関する講義およびワークショップを実施しています。また、有識者によるセミナーを開催し、その動画を社内ネットワークに公開して従業員の理解促進を図っています。2022年度はストレスチェックの結果に基づき、ハラスメントセミナーを実施しました。2023年度はダイフクグループの国内外の全社員を対象に、人権意識の向上を目的としたeラーニングを6言語(日本語、英語、中国語簡体字・繁体字、韓国語、タイ語)で実施しました。
児童労働・強制労働の防止
当社グループは、一切の児童労働や強制労働を認めません。児童労働・強制労働が発生しないよう、各拠点においてそれぞれの国・地域の法令を遵守するとともに、人権デュー・ディリジェンスを通じて定期的なモニタリングを実施しています。当社では、人材の採用時に応募書類(外国人労働者の在留カード含む)による年齢確認および入社前の労働条件の提示や意思確認を行っています。さらに、万が一人権侵害を含む法令違反や社内規定違反のおそれが発見された場合に通報ができる内部通報制度を設けています。
英国現代奴隷法への対応
英国の子会社Daifuku Logan Ltd.では、英国法“Modern Slavery Act 2015”への対応として、“Anti-Slavery Statement”を発行しています。
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