自動倉庫の地震対策ソリューション

日本は世界有数の地震国で、大小の地震が頻繁に発生しています。そのような環境において1937年からマテハン事業を展開してきたダイフクは、数々の大地震を経験し、自動倉庫の地震対策についてノウハウを蓄積してきました。世界に目を向けると、中国、インドネシア、ニュージーランド、トルコ、アメリカ、イタリア、チリなども地震国として知られています。これらの国で自動倉庫を計画する際も、地震対策が必要となる場合があります。

地震発生時に自動倉庫で発生する問題

一般的には、「自動倉庫は地震で倒壊しないのか。」という不安を抱かれることが多いでしょう。しかし、過去の大きな地震を振り返ると、法令・規則に準拠し設計施工されたラックやラックビル自動倉庫の構造体への被害報告は殆ど見られませんでした。一方で、地震後がおさまった後、以下のような問題に直面してきました。

  • 棚から格納物・パレット落下による保管物の損傷
  • 落下した格納物・パレットによる、自動倉庫設備の損傷
  • 棚の高所で荷崩れし、不安定な状態となった荷物を取り除く作業の難しさ
  • 落下により倉庫内に散乱した荷物の回収と清掃
  • 作業中断による業務遅延・機会損失

これらのリスクを最小化するため、ダイフクは以下の3点が重要だと考えています。

  • ラックの揺れの最小化
  • パレット上の荷崩れ防止
  • 棚からのパレット落下防止

ダイフクの地震対策ソリューション

食品、医薬品など「非常時でも提供する必要がある商品」を扱う企業にとって、事業継続計画(BCP)策定は必須となっています。ダイフクでは、お客様のニーズやご予算に応じ、単独または組み合わせて使用できる様々な地震対策ソリューションをご用意しています。

ソリューション 揺れの大きさ (gal)
25~80 80~140 140~250 250~400
荷物 ストレッチ包装、結束バンド
ラック 固定ストッパ
固定ストッパ+衝撃吸収ゴム
減振ラック+固定ストッパ+衝撃吸収ゴム
免震ラック
制御 感震計・緊急地震速報によるシステム停止
保管ゾーン最適化による荷物の揺れ削減

1. ストレッチ包装、結束バンド

地震による荷崩れのリスクを低減するためには、ストレッチ包装や結束バンドなどの利用で荷を安定させることが最も有効な手段となります。ピッキング作業など流通過程における運用上の都合から、全面にストレッチフィルム包装ができない場合、荷物上部を巻くだけでも一定の効果が得られることが、当社の実験で分かっています。

  • stretch wrapped pallet

    ストレッチフィルム包装で荷物全体を安定化

  • bind, tie

    結束バンドで荷物上部を固定

2. 棚ロケーションに固定ストッパ設置

ラック内の各ロケーションに固定ストッパーを設置することで、地震の際にパレットがクレーン通路側に飛び出ることを防ぎます。ただしストッパ単独では、パレット上の荷崩れを防げないため、ストレッチ包装や結束バンドによる荷物の固定と併用することで、より高い荷物の安定性が得られます。さらにストッパに衝撃吸収材を取り付け、パレットとストッパが衝突する際の衝撃を吸収することで、パレット上の荷崩れリスクを低減させることも可能です。

  • fixed stopper for earthquake

    各保管ロケーションに固定ストッパを取り付け、クレーン通路への飛び出しを防止

  • quake-absorbing stopper for earthquake

    衝撃吸収材つきストッパで、パレットとストッパ衝突時の衝撃を吸収し、荷崩れを予防

3. 減振ラック

ラック上部の梁とトラス柱の接合部に制震部材を組み込むことで、保管棚の揺れを抑制します。地震発生時には、制震部材が引っ張りと圧縮を繰り返すことで地震エネルギーを熱に変換し、揺れを最大で半減させます。

4. 免震ラック

AS/RSを免震構造にすることで、地震の揺れの影響を直接受けないようにします。自動倉庫設置エリアのみを免震構造とするため、建屋全体を免震構造にするのに比べ、低コストで導入が可能です。

  • 免震ラック

    アイソレーター(①)に支持された免震床の上に、自動倉庫を設置することで、自動倉庫に地震力が伝わらなくなります。またオイルダンパー(②)が地震エネルギーを吸収します。

  • アイソレーター

    ボールベアリング式のアイソレーターを、お皿のように軽い上り勾配をつけた支承にのせることで、地震終息後は自然に原点復帰します。

5. 感震計、緊急地震速報

seismometer connected to equipment controller

同じ施設内に設置した感震計の信号を制御装置に取り込むことで、一定水準以上の揺れを検知した際、各装置を一斉停止させ、二次災害リスクを低減します。また緊急地震速報の信号を制御機器で受信し、いち早く設備を自動停止させることも可能です。

6. 保管ゾーン最適化

通常のランダムな在庫管理運用では、商品特性に関係なく空いている棚に格納するため、荷崩れしやすい商品も揺れの大きい上部ゾーンに格納されます。これをWMSにより、荷崩れしやすい不安定な商品や液体・重量品を、揺れの小さい下部棚に保管するよう管理することで、地震発生時の荷崩れや落下リスクを低減します。

背が高く不安定な荷物、液体、重量品などは、棚の下段に保管することで、地震による揺れの影響を低減。

導入事例

ダイフクの最先端がここにある。マテハン体験型総合展示場 日に新た館

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