環境経営
ダイフクグループ環境方針
基本的な考え方
ダイフクグループは、社是・経営理念・グループ行動規範のもとで健全な事業活動を行い、持続可能な社会の実現に貢献します。マテリアルハンドリングシステムおよび機器の開発・設計・生産・販売・工事・アフターサービスなどの事業活動のあらゆる局面で環境へ与える負荷を認識し、一人ひとりがその最小化に努めます。
基本方針
本方針をグループ全役員・社員に周知し、サプライチェーン全体で環境課題の解決に取り組みます。
- 法規制等の遵守
- 事業を展開する国・地域の環境保全に関連する法令、規制や協定など、社会的なルールを遵守します。
- 環境マネジメントシステムの構築と運用
- 環境目標を設定し、環境マネジメントシステムを構築します。その運用については定期的に見直し、継続的に改善を図ります。
- 気候変動への対応
- エネルギー効率の向上に貢献する製品・サービスを提供します。また、サプライチェーンを含めた事業活動のあらゆる局面で温室効果ガスの排出を最小化します。
- 持続可能な資源利用
- 製品の開発・設計から、生産・使用・廃棄に至るあらゆる段階において、資源の持続的かつ効率的な利用に努めるとともに、廃棄物の排出削減、再利用、リサイクルに努めます。
- 自然・生態系への配慮
- 有害物質の削減と適正な処理により大気・水・土壌の汚染を防ぐとともに、生態系および生物多様性の保全に貢献します。
- 取引先との連携
- より環境負荷の少ない材料・部品・製品を優先的に調達・購入します。また、必要に応じて取引先への指導・支援等を行うことで連携を強化し、環境負荷の低減に努めます。
- 環境に関する教育・啓発
- グループ全役員・社員が環境意識を高め、一人ひとりが自律的に行動できるよう、教育や啓発活動を行います。
- 情報開示とコミュニケーション
- 取り組みの進捗状況について定期的な情報開示に努めるとともに、環境課題の解決に向けてステークホルダーとのコミュニケーションを重視します。
制定:2023年8月31日
ダイフク環境ビジョン2050
当社グループのマテリアルハンドリングを核とする「モノを動かす技術」は、一般産業、半導体、自動車などの工場自動化や、物流センターの省力化、空港運営の効率化などに幅広く貢献しています。当社グループは、世界中のさまざまな業界でサプライチェーンの一端を担っているため、自らの事業活動や製品・サービスが環境へ与える正負の影響を把握し、提供価値の向上と環境負荷の最小化に取り組むことが、持続可能な社会の実現に向けて不可欠であると認識しています。また、さらなる企業価値向上のためには、すでに顕在化している地球環境の変化が当社グループに与える機会とリスクも踏まえたうえで、中長期的な戦略を策定し、実行していく必要があります。
こうした背景から、当社グループは企業としての責任を果たすとともに、私たちが創造したい未来の社会に向けてより高い水準でより具体的に行動していく必要があると考え、2021年に公表した「ダイフク環境ビジョン2050」を2023年5月に改定し、重点領域の拡充と2030年の環境目標の引き上げを図りました。取り組みの進捗状況はCEOを委員長とするサステナビリティ委員会が管理し、重要な事項は取締役会へ報告します。
当社グループは、お客さま・サプライヤー・投資家をはじめとするステークホルダーの皆さまとの対話を重ねながら、サプライチェーン全体で環境課題に対応し、本ビジョンの実現を目指します。
ダイフク環境ビジョン2050(改定後:2023年5月公表)(PDF : 895KB)
ダイフク環境ビジョン2050(改定前:2021年2月公表)(PDF : 335KB)
- ※画像をクリックして別ウィンドウに表示することができます。
- ※自然資本は、人々に便益をもたらす自然由来の資源(植物、動物、大気、水、土壌、鉱物など)を指し、企業や社会には、これらの資源を持続可能な形で使うことが求められています。気候変動が自然資本を毀損している一方で、自然資本の持続可能性を向上させることが、温暖化ガスの吸収や気候変動による自然災害の軽減などにつながります。
3つの重点領域
「モノを動かし、心を動かす。」という経営理念のもと、世界中の人々が心豊かに生きられる社会を創造するためには、健全な地球環境を守ることが前提であり、気候変動をはじめとする環境課題への対応は極めて重要な経営課題です。当社グループは、サプライチェーン全体で企業としての責任を果たすとともに、私たちが創造したい未来の社会を見据え、本ビジョンの実現を目指します。
気候変動への対応
目指す姿:サプライチェーン全体でCO2排出ゼロ
脱炭素社会の実現に貢献する製品・サービスの開発・提供、グループ拠点およびサプライヤーにおけるエネルギーの効率的な利用、再生可能エネルギーの導入などにより、事業活動に伴うCO2排出量をサプライチェーン全体でゼロにします。
資源循環の促進
目指す姿:循環型社会の実現
水をはじめとする資源の持続可能な利用と使用量削減に努めます。また、製品の長寿命化や生産拠点から排出される廃棄物量の最少化、使用済み製品・部品のリサイクル拡大などにより循環型社会の形成に貢献します。
自然との共生
目指す姿:自然資本に与える負の影響ゼロ
事業活動が地球環境に与える影響を把握したうえで、生態系サービスの持続可能な利用と生物多様性の保全に努めます。大気・水・土壌など自然資本への負の影響の最小化を図り、ステークホルダーとともに自然との共生を実践します。
2030年の目標
本ビジョンの改定にあたっては、2030年の目標も合わせて見直し、CO2排出量削減目標をパリ協定が求める1.5℃目標の水準に設定※1したほか、水資源および生物多様性保全、啓発活動についても新たに目標を設定しました。刻々と変化する社会動向や事業環境に対応できるよう、目標は定期的に見直し、必要に応じて再設定します。なお、2022年度の実績は改定前のKPIにもとづいて開示し、2023年度以降は下記のKPIで目標を管理していきます。
また、重点領域の一つである「気候変動への対応」について、2024年5月、2030年のスコープ1・スコープ2の削減目標(2018年度比)を50.4%から60%へとさらに上方修正するとともに、再生可能エネルギー由来の電力比率の目標を新設しました。また、「自然との共生」についても、サステナビリティアクション※2を通じてグループ全体でより効果的な意識醸成を図っていくことを重視し、人数の目標を定性目標へと見直しました。
- ※12023年11月、「ダイフク環境ビジョン2050」で設定したCO2排出量削減目標が、パリ協定に準じた科学的根拠に基づく目標と認められ、SBT(Science Based Targets)イニシアティブより認定を取得しました。スコープ1・スコープ2については1.5℃水準の目標、スコープ3(カテゴリ1および11)についてはWB2℃水準の目標となっています。
- ※2サステナビリティに関する啓発・教育のための当社独自の社員参加型プログラム
重点領域 | KPI(実績評価指標) | 目標 |
---|---|---|
気候変動への対応 | 自社CO2排出量 (スコープ1+2) |
60%削減(2018年度比) |
再生可能エネルギー由来の電力比率 | 80% 日本は2027年に100%達成見込 |
|
購入した製品・サービスに伴うCO2排出量 (スコープ3 カテゴリ1) |
30%削減※1(2018年度比) | |
販売した製品の使用に伴うCO2排出量 (スコープ3 カテゴリ11) |
||
資源循環の促進 | 廃棄物の埋立率 | 1%未満 |
水使用量売上高原単位※2 | 60%削減※3(2018年度比) | |
自然との共生 | 主要拠点※4における生物多様性保全活動実施率 | 100% |
サステナビリティアクションのグローバル展開 | プログラムの拡充・啓発 |
- ※1スコープ3のカテゴリ1およびカテゴリ11合わせての目標
- ※2水使用量(千m3)/売上高(億円)
- ※3当初目標を前倒しで達成したため、上方修正しました(2024年8月)
- ※4従業員数100人以上の拠点
推進体制
CEOを委員長、各事業部門長等を委員とするグループ横断的な「サステナビリティ推進委員会」を組織し、その傘下に「環境経営分科会」を設置しています。同分科会では「ダイフク環境ビジョン2050」にて設定した重点領域を中心に、活動の推進および目標に対する進捗の確認を行っています。2024年度は以下の3つのプロジェクトを発足し、事業部門・コーポレート部門横断で各テーマへの議論を深めています。
環境経営分科会
メンバー | 各事業部門(製造・営業・設計)、(株)コンテック、プロダクション改革本部、人事総務本部、法務部、ガバナンス推進室、DX本部、サステナビリティ推進部 | |
---|---|---|
主な議題 | 環境負荷低減プロジェクト | 滋賀事業所および国内拠点における省エネルギー・再エネルギーの導入検討、省資源活動の推進 |
グリーン調達プロジェクト | グリーン調達運用にあたっての社内体制および仕組みの構築 | |
サプライチェーンCO2削減プロジェクト | サプライチェーン上流の脱炭素化に向けたサプライヤーとの協働 |
環境マネジメントシステム認証取得の状況
国内外の主要な生産拠点において環境マネジメントシステムの国際規格 ISO14001の認証を推進しています。国内においては3拠点のすべてで、海外においては18拠点で認証を取得しています。生産拠点数に占める認証取得比率は81%です。
認証規格 | 生産拠点数(連結) | うち認証拠点数 | 認証比率 |
---|---|---|---|
ISO14001 | 26 | 21 | 81% |
水リスクへの対応
当社グループでは世界資源研究所(WRI)が開発した評価ツール「 Aqueduct(アキダクト)」を使用して、国内外の主要拠点のある国・地域(日本、中国、台湾、インド、タイ、韓国、アメリカおよびイギリス)において、定期的に水リスクの評価を実施しています。2022年度に実施した分析では、インドの2拠点と中国の3拠点がHigh以上のリスクレベルにあることが判明しました。これらの拠点を優先拠点として選定し、実態調査を行った結果、当該5拠点における2023年度の取水量は計27,004m3でした。水の主な使用目的は従業員の生活水や草木への散水であり、取水源からの供給量や水質は安定していることが分かりました。従って、現時点で大きなリスクは確認されていませんが、オフィスにおける節水や処理済み排水の再利用などにより、水使用量の削減に努めています。
当社グループの生産活動で水を使用するのは主に製品塗装前の脱脂工程ですが、同工程において良質・多量の水を必要とすることはありません。しかし、水資源は当社グループにとって重要な資源であると認識しており、生産拠点での水使用実態を把握した上で、水リスクに関する適切な対策に取り組みます。
主要拠点の水リスクの評価(Overall評価※)結果は、以下の通りです。
水リスクレベル | 拠点数 |
---|---|
Low(0-1) | 6 |
Low-Medium(1-2) | 17 |
Medium-High(2-3) | 2 |
High(3-4) | 3(中国) |
Extremely-High(4-5) | 2(インド) |
- ※Aqueduct上の定義であり、物理的水量、水質、規制及び評判リスクなどのすべての要素を踏まえた総合的な水関連リスク評価
LCA(ライフサイクルアセスメント)
当社では、製品が環境へ与える負荷をライフサイクル全体で把握し、環境に配慮した製品を継続的に開発するため、すべての開発製品に対してLCA手法による環境影響評価を実施しています。自社の製品を新旧比較することで、製品・サービスの環境配慮設計の高度化に役立てています。
事例紹介ケース自動倉庫「ファインストッカー」(H-P10)のLCA結果
ケース自動倉庫「ファインストッカー」は、少量多品種の不定形な製品や部品を「コンテナ」「段ボールケース」「トレイ」などの単位で、自動入庫・保管・自動出庫する製品です。H-P10はマルチテナント型物流倉庫に適した高能力機種で、本体を軽量化し特殊移載機により移載時間を短縮しました。
1. LCA算定範囲
H-P10を構成するスタッカークレーンの部分について、「原材料採取」から「使用済み製品のリサイクルのための輸送」までを範囲とし、12年間分の入出庫動作を算定しました。
2. インパクト評価
下記グラフの6つの影響領域について、ライフサイクル段階別にインパクト評価を行いました。また、その影響領域別に新旧製品の比較を行いました。
ライフサイクル段階別 インパクト評価結果
- 「廃棄物」「水資源消費」については、素材製造・組立段階のインパクトが90%以上を占めました。
- 「気候変動」「エネルギー消費」については、使用段階のインパクトが約70%を占めました。
- 調査対象としたすべての領域で、輸送および廃棄段階のインパクトは小さいことが分かりました。
CO2排出量の比較(影響領域:気候変動)
原材料や部品点数、使用時の消費電力の削減などにより、H-P10は従来機種(R-F10)に比べCO2排出量が26%削減されました。
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