産業のコメといわれる半導体チップ製造では、価格競争激化への対応や高性能化のための製造技術革新が進む中、工場全体視点での生産性向上策が求められています。生産性を向上するためには、ハード面では回路内の線幅・間隔の微細化と、ウエハサイズの大型化が課題となります。また、ソフト面では工場全体のオペレーションにおいて製造装置や搬送のムダを少なくする方策が必要となります。本稿では、450mmウエハ対応のAMHS(Automated Material Handling System)と搬送のムダをより減少させるシステム構築についてご紹介します。

半導体ウエハとキャリアの変遷

写真1のようにウエハサイズは、大口径化が進んでいます。200mmサイズが1990年から始まりましたが、この時代までは表1のように密閉されていない搬送容器(カセット)を使用することが多く、工場全体を高いクリーン度に保つ必要がありました。また、このカセットを自動搬送するには容器の底面もしくは側面を保持した方式での搬送となり、搬送機器からの発塵も最小限にする設計が必要でした。

2000年代に入りウエハサイズが300mmとなった際にFOUP(Front Opening Unified Pod)と呼ばれる容器が開発されました。FOUPは内部のクリーン度を高く保持し、かつホイスト付き天井走行台車(OHT:Overhead Hoist Transfer Vehicle)で自動搬送可能な上面にフランジの付いた規格となりました。   

これにより工場内のクリーン度も製造装置内など局所のクリーン化で済むようになったことでAMHSにとっても設備計画の自由度が増し、またクリーン度を保つための空調においても工場建設費のコストダウンに繋がりました。さらにいくつかのICチップメーカーが、2015年頃から次世代サイズの450mmウエハ工場での量産開始計画を進めています。

ウエハサイズが300mmから450mmへ拡大することで、面積は2.25倍となりウエハ1枚当たりの生産性は大幅に向上します。ただ、300mmから450mmになった場合には容器実重量(ウエハ25枚入り)も約10kgから25kgとなり、OHTで天井搬送することを考えると、安全性の向上に加えて、ウエハサイズの大型化による、歩留まり向上のためのウエハに対するクリーン度維持など、AMHSの信頼性が一層厳しく要求されます。

ウエハサイズの変遷(出典:ITRS:International Technology Roadmap for Semiconductors)

写真1: ウエハサイズの変遷(出典:ITRS:International Technology Roadmap for Semiconductors)

半導体工場のレイアウト

大規模工場ではOHTの走行レールが総延長10kmにもおよび、台車数も数百台を超えて走行するため、渋滞回避、走行車線・追い越し車線の設定、上位システムからの搬送要求指示を迅速に処理することを考慮した最適な運行管理システムが要求されます。

現在の工場レイアウトには大別すると2種類あり、図1のInter & Intra(工程間・工程内分別)搬送方式と、図2のUnified(装置間直接)搬送方式に分けられます。

Inter & Intra方式では製造装置から次の製造装置へFOUPを供給するために、必ずストッカーを経由しなければならないレイアウトとなっています。これは常にストッカーに仕掛り品を待機させることができるため、メモリーチップのような少品種多量生産の工場に適したレイアウト方式です。ただし、搬送回数は「製造装置」⇒「ストッカーA」⇒「ストッカーB」⇒「製造装置」と多くなります。

一方、Unified方式は一時保管のためのストッカーは存在しますが、製造装置間ではストッカーを介することなく直接搬送できます。例えば受託製造企業(ファウンドリー)が製造するカスタムICチップなど、多品種少量生産には製品出荷までの迅速性が要求されるため、仕掛りを少なくし、より効率的な生産が求められます。この方式の搬送回数は「製造装置」⇒「製造装置」と、直接搬送の比率が多くなるほど回数は少なくなります。ただし、製造装置へのFOUP供給はタイミングを適正にするためにAMHSはもちろんのこと、ハイレベルなプロセスマネージメントが不可欠となります。

そのためにはAMHSにおいても、ほとんど上位システムからの指示通りに搬送している現状から脱却することが必要です。そして「次にどこに運ぶ」、さらに進んで「どのロットを作る」などの生産情報の一部を取り込んだ自律搬送を次世代搬送への課題として取り組んでいます。

Inter & Intra(工程間・工程内分別)搬送方式

図1: Inter & Intra(工程間・工程内分別)搬送方式

Unified(装置間直接)搬送方式

図2: Unified(装置間直接)搬送方式

< DAIFUKU NEWS No.200 (2012年1月)より >