Outram Community Hospital 様
病院内の物品と薬品の管理を自動化
逼迫する医療現場で、効率化と省力化を図る
シンガポール中心部の広大な敷地内に新設されたOutram Community Hospital様は、病院の建設とともに自動化設備の導入に着手し、2020年に院内の物品管理部と薬局にケース自動倉庫や高速搬送台車などで構成したシステムを構築しました。逼迫する医療現場において、保管・管理を自動化することにより、作業の効率化や省力化を図りました。
シンガポールの医療制度は世界的に評価が高く、効率性においては香港に次いで世界2位に位置し(ブルームバーグ調べ※1)、JCI 認証※2を持つ病院数においてはアジア1位の、世界有数の医療先進国です。
その中で最も古い歴史を持つ同国最大の総合病院Singapore GeneralHospital様(以下SGH)では、地域に根差した医療を提供するコミュニティホスピタルを3つ運営しています。その一つOutram Community Hospital様(以下OCH)は2019年、SGHで手術や治療を受けた患者さんがシームレスにリハビリや緩和ケアを受けられるようSGH敷地内に新設されました。
OCHは約550床を持つ大規模病院で、院内で取り扱う医療用消耗品や薬品の保管、ピッキングなど物品処理の効率化を図るため、院内の物品管理部と薬局にそれぞれ、ケース自動倉庫をはじめとする自動化設備の導入を決定。病院の建設後、設備の設置を開始し2020年4月に稼働しました。
- ※1Health Care Efficiency Score in 56 Economies(Bloomberg Health Efficiency Index)
- ※2JCI(Joint Commission International)認証は、国際非営利団体による第三者の視点から医療施設を評価する認証機構。
院内2カ所にケース自動倉庫を導入し、保管・処理能力を向上
院内薬局に設置したケース自動倉庫は、クレーン4基を備え、1,416ケースの保管能力を有しています。入出庫の荷捌きシステムとして、ループタイプの高速搬送台車を4台配置し、薬品を入れた折り畳み式コンテナを自動倉庫に入庫します。オーダがかかり出庫されたコンテナは、ピッキングエリアのグッズツーパーソンのピッキングステーションに搬送されます。出庫されたコンテナがステーションの下段に一時停止し、作業者はコンベヤ上の表示器に示された数量をピッキングして、上段の集品用コンテナに投入します。これにより定位置でのピッキング作業が可能となり、ピッキング精度が向上しました。
また、このシステムには、RFIDソリューションも取り入れています。コンテナに取り付けたRFIDタグを入出庫の際、リーダで自動的に読み込むことでリアルタイムな在庫管理を行っています。
一方、物品管理部には、クレーン3基、格納数1,918ケースを保管可能なケース自動倉庫を設置しました。ここでは、ガーゼや医療用テープ・マスクなど、診療で使用する医療用消耗品を保管します。院内薬局と同様に、自動倉庫の入出庫の荷捌きシステムとしてループタイプの高速搬送台車5台を配置。自動倉庫の側面に設けた入出庫ステーションからコンテナを搬送し、自動倉庫へ入庫します。ピッキングには、4カ所のステーションにコの字コンベヤを設置しています。出庫オーダがかかったコンテナを高速搬送台車でステーションに搬送し、コンベヤ上でピッキングを行い、計量による検品を行ってから集品用コンテナに入れ、必要部署へ自走台車で搬送します。
新型コロナウイルス感染症が拡大する中、逼迫する医療現場において人手をほとんど介さない保管設備や、少人数、短時間で行えるピッキングシステムにより、処理能力の向上、効率化、省力化につながりました。SGHが経営する病院では院内物流において初の自動化設備となるため、同院がフラッグシップとなり、他の病院での展開につなげていく考えです。
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