当社が仕分けシステム1号機として、押出しダイバータ式の「スイングソーター(スチールベルトタイプ)」を誕生させたのは1976年。以来、今日までにさまざまな仕分け・ピッキングシステムを手掛け、広範な業界へお納めしてきました。当初は、ケース品を対象としたシステムが中心でしたが、1980年代後半から配送の小口化が進むにつれてピース品を扱うシステムが注目を浴びるようになりました。また、納入先もメーカーの物流センター、運輸業界のトラックターミナルなどから始まり、現在では3PL・卸・小売業界と流通分野の下流まで幅広く採用されています。当社の仕分け・ピッキングシステム開発の流れを、市場と技術の変遷を交えながらご紹介します。

仕分けシステム

ケース仕分けシステムは運輸業界から

1965年から続いた好景気も1970年代に入り下降気味となります。これに追い打ちをかけるようにドルショック、第1次オイルショックが発生、日本経済は深刻な景気低迷期に突入。産業界では大幅な合理化が進められました。こうした状況のなか、運輸業界では同年代中頃から後半にかけて、"3K"と呼ばれる労働集約型体質からの脱却を図るため、トラックターミナルを中心に自動仕分け装置の導入が相次ぎました。そこで開発したのが、シンプルな構造で多様な荷姿に対応でき、しかも耐久性が高い、などの特長を持つ押出しダイバータ式「スイングソーター(SWS、スチールベルトタイプ)」。ソーター速度は60~80m/分、仕分け能力は3,000~5,000個/時程度でした。1976年、1号機をスーパーチェーンの(株)平和堂・彦根配送センター(写真1)で採用いただいたのを皮切りに、運輸業界の多くの企業へ納入しました。1980年代初めには、SWSのシリーズ機種として、安価で簡単に設置できる簡易型の樹脂ベルトタイプを、また後半にはSWSと同程度の仕分け能力を持つローラ浮出し式の「ポップスキューソーター」を開発。これにより納入先は運輸業界から倉庫業界へ、さらに製薬会社などメーカーの物流センターへ一段と広がりました。

1990年代に入ると、仕分け時に荷物に優しく衝撃が少ない、スライドシュー式の「サーフィンソーター」を開発。続けて1993年には、同機種を能力アップした「ジェットサーフィンソーター(J-SUS)」(仕分け能力7,000個/時)を完成。それぞれ1号機を、前者は松下電器産業(株)・厚木事業所へ、後者は(株)イトーヨーカドー向けの通過型センター、(株)スーパーレックス・相模原事業所へ納入しました。同年代中頃からは、スーパー・専門量販店など小売業界向け物流センターや、そうした業界の物流業務を代行する3PL・卸などからも多くの引き合いがあり、年間納入件数は2桁台に乗りました。

1990年代の終わりには、センターの大型化に伴い取扱量が増大。そのニーズに応えるため、荷物の搬送間隔を狭くして仕分け能力が出せる平行分岐タイプのJ-SUSも開発しました。2000年代になるとソーター能力への要求はさらに高度化。福山通運(株)(写真2)が手がけた大手小売店向け物流センターでは仕分け能力1万個/時の高能力タイプを納入しました。なお、ご紹介したソーター以外にも、チルトトレー式「パンソーター」を開発。1979年から1980年にかけてブラジル郵便電信電話公社で、1980年終わりには名古屋郵便局・郵政省多摩で小包・郵袋の仕分け用に採用されました。

  • スイングソーターの納入1号機

    写真1: スイングソーターの納入1号機

  • ブラジル郵便電電公社に納入したパンソーター

    写真2: ブラジル郵便電電公社に納入したパンソーター

  • 納入実績が最多のジェットサーフィンソーター

    写真3: 納入実績が最多のジェットサーフィンソーター

ピース仕分けシステムの登場

1980年代の後半、ピース物量の増加に伴い、ピース仕分けシステムの導入が活発になってきました。その一つがオーダ別の棚間口やカゴ車にデジタル表示器を取り付け、その表示器の数量に従い"種まき"をするデジタルアソートシステムです。1990年代終わりには、デジタル表示器なしで無線式ハンディターミナルを使用した、ローコストで仕分けミスが少ないアソートシステムも登場しました。

同時期、アパレル業界を中心としてカテゴリー別納品や小口化が進行、物流センターではピース単位のオーダが増加しました。これに対して当初はパンソーターで対応、フラット品の仕分けでは一定の成果を上げていました。ただ、ピース仕分けの要求は他分野にも広がり高能力化が求められるようになってきたため、1万1,000個/時の仕分け能力を持つベルトキャリヤ式の「スキーソーター」を開発しました。

1990年代後半になると、納品精度向上への要求が急速に高まり、検品を兼ねた小物ソーターの需要が拡大。より安価で、多様な荷姿にも対応できるスライドシュー式「サーフィンソーターミニ」を市場に投入しました(写真3)。さらに、書籍を仕分ける専用ソーターとしてベルトキャリヤ式の「ブックソーター」も開発しました。これは傾斜したベルトキャリヤから本をシュートに払い出し、シュート内で自動スタッキングが可能な仕分け装置です。

コントロール・運用方式の変遷

当初、仕分け情報の入力方式は、ソーター投入部で作業者がシュート番号をテンキー入力するタイプが一般的でした。一時、音声入力方式が開発され他社製設備が数件納入されましたが、テンキー・音声入力方式ともラベルの見間違い、入力間違いなどによる仕分けミスが大量に発生。また処理能力も作業者一人当たり1,500個/時程度が限界で、ソーターの機械能力3,000~6,000個/時をフル活用するためには複数の作業者と入力用導入コンベヤが必要でした。

近年は、ケースに直接印刷した物流バーコード(ITF)や貼付されたバーコード付きラベルをバーコードリーダ(BCR)で自動で読み取る方式が主流を占めています。ただ、小物ソーターでは商品の形状が多様なため、自動では読み取り精度が低くなり、投入時に作業者が商品のJANコードをBCRで読ませる方式が一般的です。現在では、ICチップを利用して自動読み取りを行う方式も検討され始め、さらなる効率化への期待がかかっています。当初の制御方式では、仕分け情報はシュート番号であり、そのデータにより仕分けるため複雑なデータ処理は不要でした。ところが、バーコード自動読み取り方式では、バーコード情報は店舗番号や商品コードであるため、その情報で仕分けることは不可能。そこで、バーコード情報と仕分けシュートをひも付けするための「ソーターマネージャー」を開発、データ処理が高速で行えるようにしました。また、シュートの自由割り付け機能、各シュート別実績収集機能、入荷時の実績データと入荷予定を突き合わせる自動検品機能などを付加することで、単に荷物を仕分けるだけでなく、より効率的な運用や管理が行えるよう考慮しています。(注:仕分け能力は、1台あたりの機械能力)

ピッキングシステム

ケースピッキングシステム

1960年代後半、倉庫などでの出荷単位はケースがほとんどでした。当社では当時、パレットラック「スピードラック」で保管し、フォークリフト「WOP」「HOP」でリストによるケースピッキングを行う方式を数多く納入しました。現在、フォークリフトの生産は中止したものの、固定棚・移動棚によるピッキングではWMSやフォークLANなどと組み合わせてシステム化を図り、納入件数を拡大しています。

1972年にはユニット式のパレット自動倉庫「コンパクトシステム」を開発。その後、作業者搭乗型のシリーズを追加しました。これは、スタッカ-クレーン「ラックマスター(RM)」のキャレッジ(荷台)に集品用のカゴ車やパレットを積み込み、搭乗者が自動倉庫内でピッキング作業を行えるようにしたものです。ただ、このタイプは安全性や作業環境の観点から問題があるとされ、1980年代には廃止されました。現在では、自動倉庫からパレットを荷捌きエリアまで払い出し、そこでピッキングを行い、背面に設置したコンベヤに投入して出荷場まで搬送、ソーターなどで仕分ける方式が主流となっています。2000年代になると作業負荷の軽減やパート化の進展に伴い、ピッキング自動化への要求が高まりました。これに対応するため自動倉庫に連動させたケース自動ピッキングシステムを開発。オーダごとにパレットで出庫して、パレット上のケースをロボットでピッキングし、荷姿の異なるさまざまな商品も1つのパレットに積み付けられるようにしました(写真4)。

ピースピッキングシステム

(1) ケース自動倉庫

1970年代初頭、トヨタ自動車販売(株)・春日工場や日産自動車(株)・相模原パーツセンターへ、パレット自動倉庫でピースピッキングを行う業界初のシステムを納入しました。搭乗型RMに集品バケット搬送用トレイコンベヤを取り付けた構造で、作業者がラックから部品をバケットにピッキングし、完了するとそのバケットをトレイコンベヤに投入、RM通路内下部に設置したローラコンベヤに払い出し集約場まで搬送するというシステムです。このシステム納入を機に、ケース自動倉庫「バケットビルシステム(現ファインストッカー、FS)」を開発。生産分野の部品倉庫を中心にさまざまな分野で導入され、ケース単位の出庫や荷捌き場でのピースピッキングの主要設備として広く認知されるようになりました。1990年代後半にはFS高能力タイプを開発、JAをはじめ3PL・卸・小売業界などの物流センターで出庫順をコントロールして払い出す、ケース出荷システムとしても採用されています。

(2) 回転ラックシステム

1970年代後半、作業負担の軽減を図るため、人が歩かないですむシステムとして、既設倉庫などにも簡単に導入できる水平式「ホリゾンタルカルーセル(HCR)」、垂直式「バーチカルカルーセル(VCR)」の回転ラックシステム2機種を開発。電子・電機業界を中心に小物部品ピッキングやキット化システムとして、またアパレル業界ではフラット品の種まきシステムとして導入されました。1980年代初めには、HCRの高能力ケース・ピースピッキングシステムとして、多層式棚の各段が独立して駆動する「マルチカルーセル」を開発。さらに、ピッキング効率の向上とミス防止のため、VCRに電子はかりを組み込んだ「キャップス」を開発するなど、付加価値を持った製品シリーズを展開しています。

(3) デジタルピッキングシステム

1986年、生協の班別共同購入に対応したマテハン設備として、「デジタルピックシステム(DPS)」を開発。生協のスタンダードなシステムとして多数納入しました。1997年には、共同購入が班別から個人別に移行したことに伴い、さらに高能力なシステムが要求され、ピッキング能力1,500~1,600集品箱/時の新シリーズ「C-DPS」「e-DPS」を開発しました。これらの製品は、生協以外にも医薬品・化粧品・食品・日用品雑貨などメーカーや流通業の物流センターに数多く採用され、常温から冷凍・冷蔵など幅広い環境下で使用されています。2000年に入るとピッキング高精度化への要求が強まり、DPSにPOS検品を組み込んだシステムを開発しました。これはDPSライン内のエリア単位でピッキング商品のJANコードをBCRで読み取り検品を行うシステムで、食品系卸の物流センターを中心に採用が活発化しています。

(4) ピッキングカートシステム

1988年、(株)資生堂・中部商品センターへ、複数オーダのピッキングが同時に行えるマルチオーダタイプの「ピッキングカートシステム(PCS)」1号機を納入しました。ピッキングデータなどの授受を無接触型ICカードにより行い、ピッキング棚にはピック間口を指示するランプを付けた多品種少量品向け高機能型システムで、医薬品・化粧品など付加価値の高い商品を扱うメーカーを中心に1990年代まで納入が広がりました。1990年代に入ると対象となる業種・業態が拡大、低価格化の要望にこたえるため、ピッキング棚の間口ランプに替えて液晶モニタで作業指示を表示するタイプを開発しました。これが普及モデルとなり、ピッキングカートの納入は急速に拡大します。

1995年、ピッキング高精度化の要求に対して、カートにハンディ式BCRを搭載した検品タイプや、プリンタを搭載して値札発行機能を追加するなど、付加機能を拡張しました。さらに1998年、SS無線情報端末を搭載したタイプでは、作業指示・作業完了などのデータがリアルタイムに近い状態で管理コンピュータとの交信が可能となり柔軟性はさらに増強、EDI(電子データ交換)対応のSCMラベルの発行もできるようになりました(写真5)。こうした改良・開発に加え、納品精度の向上、柔軟な負荷変動対応、導入コストの縮小などを背景に、食品・雑貨などの卸の物流センターでの採用が増加。現在もその移動情報端末の機能を生かし、入出荷検品や棚卸しなどピッキング作業以外にも利用範囲が広がっています。PCSはアイテム数が多く中能力のシステムに適しており、PCSにより店舗別・通路別ピッキングを行い、店舗側での通路別仕分けをなくし、陳列棚への品出し作業の効率化を実現するなど、流通系センターで高い評価を得ています。

  • 画像認識システムを採用したピッキングロボット

    写真4: 画像認識システムを採用したピッキングロボット

  • 入出荷検品、棚卸しにも使えるピッキングカート

    写真5: 入出荷検品、棚卸しにも使えるピッキングカート

(5) SS無線式ハンディターミナルシステム

1990年代末、SCM対応の物流センターを構築するにあたり、WMS(物流センター管理システム)の導入が活発化しました。これに併せ、従来使用していた物流センターの棚や台車をそのまま利用できるBCR付きSS無線式ハンディターミナルシステムの導入が急増してきています。同システムは導入コストが比較的安価で、入出荷検品システム、ピッキングシステム、アソートシステムなどで幅広く使用でき、中小規模のセンターでも大きな効果が期待できます。

(6) ピース自動ピッキングシステム

ピース品の自動ピッキングシステムは、1980年代すでに登場していました。しかし、商品荷姿が限定されるうえ、荷傷みが許されないなど制約条件が多く、国内での納入実績はわずかです。当社では2002年、カートン単位の自動ピッキングシステムを開発、たばこ流通企業に納入しました。約9,000カートン/時の処理能力を実現し、カートンのオーダ別ピッキングだけでなく、ダンボールケースへの封入・梱包までを完全自動化しています。

今後の動向

SCM展開が広がるにつれ、商品配送の多頻度・小口化はいやおうなく加速していきます。これに対応する物流センターシステムにはさらなる高能力・高精度化が求められるでしょう。物流センターの要となる仕分け・ピッキングシステムでは、高能力はもとより、ハード耐久性・システム信頼性の向上、メンテナンスフリー化、予防保全システムの強化など、さまざまな課題をクリアしていく必要があります。当社では多種多様な物流システムを手がけてきた豊富な経験・ノウハウと先進の技術で、これからもお客さまのニーズに対応した新しいシステムをご提供していく方針です。

< Daifuku News No.170 (2003年12月)より >