当社は1970年代初頭、自動車部品用に業界初のピースピッキングを行うシステムを納入して以来、数多くのシステムを手掛けてきました。ピースピッキングシステムは当初、工場やパーツセンターで必要な部品を取り揃えるシステムとして活用されていましたが、近年では商品の多品種少量化や配送の小口化が進み、店舗や顧客からの注文に応じて商品を取り揃えるためのシステムとして、さまざまな業界の物流センターで核となる設備に位置づけられるようになりました。本稿では、高能力・高精度を可能にした「新型ピッキングカートシステム」と「自動投入デジタルピックシステム」をご紹介します。

重量検品機能を搭載した「新型ピッキングカートシステム」

「ピッキングカートシステム(PCS)」は、“ペーパーレス”“作業の簡易化”といったニーズをもとに開発しました。当社は1987年、当時最先端の技術を取り入れたPCSを大手化粧品メーカーに納入。それまでの注文伝票(ピッキングリスト)を片手に台車を押し、保管棚から商品を探し回るという煩雑で精度の低い作業をなくしました。 当初のPCSは、ピッキングデータの授受にICカードを使用し、集品する商品や数量、在庫ロケーションといった作業指示をカートや棚に表示していましたが、現在ではデータの授受はSS無線方式、ピッキング間口・数量の指示はカート本体の専用小型パネルコンピュータで行います。さらに、ハンディ式バーコードリーダとSCMラベルプリンタを搭載し、ピッキング時に検品を行い、各オーダの終了とともに発行されるSCMラベルを貼り付けることで迅速な出荷が可能になりました。これまで当社は、約2,000台のPCSを食品卸をはじめ、さまざまな業界の物流センターへ納入してきました。 時代の技術進歩とともに改良を加えてきたPCS。新たな機能を搭載してフルモデルチェンジしました(写真1)。

写真1: 重量検品機能を搭載したPCS

写真1: 重量検品機能を搭載したPCS

「新型ピッキングカートシステム」は従来のハンディ式バーコードリーダによるJAN検品に加え、「重量検品」を追加。これはピッキングされた商品が集品容器に投入された時の重量変化量を検出し、投入された商品と数量にミスがないかチェックする機能です。これまでの数量確認は、手入力かJANスキャンを複数回行う必要がありましたが、今回新たに追加した重量検品機能により、数量の確認をピッキングと同時に完了することができます。これにより、集品ミスを低減し、作業効率を向上。また、リチウムイオンバッテリの採用で台車を小型軽量化、独自の5輪構造により回転半径を縮小(図1)。操作性を高めることで、さらなる生産性アップが可能となりました。

作業手待ちを解消する自動投入デジタルピックシステム

「デジタルピックシステム(DPS)」も“ペーパーレス”“作業の簡便化”といったニーズに応え開発したシステムです。DPSはピッキング棚の前面に設置したコンベヤ上に集品容器が運ばれてくると、棚の各間口の表示ランプと数量表示器が点灯し、作業者にピッキングする商品と数量を指示します。PCSと比べ商品アイテム数が少なく、オーダ数が多い場合に適しています。

当社のDPSは1986年、生協の班別共同購入のシステムとして開発。その後、共同購入が班別から個人別に移行し、さらに高能力なシステムへ改良しました。

これまでのDPSは高能力を達成するために、各ピッキング棚にそれぞれ専従の作業者を配置し、全体を流れ作業で行っていました。ところがこの場合、ある棚では作業がなく別の棚では5商品のピッキングが発生するといったこともあり、すべての棚で作業が終了して初めてコンベヤ上の集品容器が移動するため、ピッキング商品がなかった作業者や早く終了した作業者は、コンベヤが動き出すまでの間 手待ちが起こります。そのためDPSは、流れ作業ゆえの手待ち時間の削減が課題となっていました。

このたび開発した「自動投入デジタルピックシステム」(写真2)は、高効率化と高能力、さらには高精度を同時に実現しました。コンベヤの上に設置した自動投入装置(写真3)に商品を事前にピッキングしておくと、集品容器の到着に合わせて自動的に商品を投入。商品を保持したまま優しく投入するベルトホールド方式を採用しています(図2)。

写真2: 自動投入デジタルピックシステム(手前)

写真2: 自動投入デジタルピックシステム(手前)

写真3: 自動投入装置

写真3: 自動投入装置

この自動投入装置により、作業者は集品容器が到着する前にピッキングを先行して行うことができます。言い換えるとコンベヤラインの進捗に合わすことなく次々と作業ができるので、手待ち時間を削減することが可能です。これにより、稼働率のアップすなわち生産性が向上し、集品容器もスムーズに流れることで能力アップも同時に実現します。さらに、この自動投入装置にも重量計を内蔵し、ピッキングした商品の重量をチェックすることで集品ミスも低減します。

ピッキングシステムの今後の動向

ピッキングシステムは近年の多品種少量化、配送の多頻度小口化といった市場環境の変化と情報機器の高度化により、大きく進化してきました。これからもネットビジネスの隆盛、顧客ニーズの多様化などにより、さまざまな進化が求められるものと思われます。当社では70年以上にわたって培ってきたマテハンシステムの豊富な経験と先端技術で、さらに進化したピッキングシステムを開発し、お客さまのニーズにお応えしていく考えです。

< DAIFUKU NEWS No.190 (2009年3月)より >