担当役員メッセージ

長期ビジョンのもとで
目指すべき経済価値と社会価値を創出し、
持続可能な社会の実現に貢献していきます。
長期ビジョンおよび新中期経営計画の進捗
ダイフクグループは、2024年5月に新たに公表した長期ビジョン「Driving Innovative Impact 2030」および「2027年中期経営計画」(以下、本中計)のもと、経済価値と社会価値双方の視点を踏まえた統合目標を設定し、事業活動を通じて持続可能な社会の実現を目指して取り組みを進めています。本中計では、その長期ビジョンの達成に向けてグループで対応する重要課題をマテリアリティと定義し、KPI(実績評価指標)を設定の上、年度ごとに進捗管理を行っています。2024年度は、将来を見据え、先端技術を活用した製品開発や新たな市場・ニーズに対する提案を強化するとともに、持続的な成長の基盤づくりとして、国内外で設備・人材への投資を積極的に行いました。ESG(環境・社会・ガバナンス)に対する取り組みの進捗は、概ね順調に推移していますが、現状に満足することなく、より一層高い水準で社会の要請に応えていきます。
自然と調和する環境経営を目指して
「ダイフク環境ビジョン2050」では、“2050年にマテリアルハンドリングシステムが環境負荷ゼロで動く世界の実現” を掲げ、積極的な環境負荷の低減に取り組んでいます。2024年11月には、国内拠点での使用電力をすべて再生可能エネルギー由来へ切り替え、海外子会社においても再生可能エネルギーの導入を積極的に進めています。また、当社のCO2排出量の大部分を占める、原材料などの調達活動(スコープ3)については国内主要サプライヤーに対して、CO2排出量削減に向けた説明会を開催し、排出量データの収集を行っています。2024年度からは、新規に開発した製品に対して、環境価値だけではなく、社会価値も含めて評価する「サステナビリティ性能評価」を開始し、製品のさらなる効率化・省電力化に加えて、よりお客さまや社会へ貢献できる製品・サービスの創出に取り組んでいます。
また近年、生物多様性を含む自然資本の喪失への危機感が世界的に高まっており、当社としても「自然との共生」を持続可能な社会の実現に向けた重要テーマと位置づけています。滋賀県最大級の敷地面積を有する当社の滋賀事業所には、1,000種以上の在来種が生息しています。この豊かな自然環境を守っていくため、生態系調査や生物多様性保全活動を通じて、事業活動による環境への負の影響の最小化に努めています。こうした取り組みや社内外との交流活動が評価され、2024年度には、滋賀事業所内の「結いの森」が環境省より「自然共生サイト」に認定されました。2025年2月には自然関連財務情報開示タスクフォース(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures、以下TNFD)フォーラムへ参画し、同年5月にTNFDのフレームワークに基づいた情報開示を行いました。今回の分析で認識された当社グループの事業活動と自然資本の関係性、自然関連のリスクと機会を考慮しつつ、今後グローバルにも取り組みを広げていきたいと考えています。
さらなる成長を実現するための組織づくり
当社グループの強みは、コンサルティングから、技術開発、製造、エンジニアリング、アフターサービスに至るまで、お客さまへトータルソリューションを提供できる点にあります。すべてのプロセスで高い付加価値を提供し続けるためには、専門性の高いスキルを持った人材の採用・育成が欠かせません。特にAI等の先端技術を活用した技術開発のための人材の拡充・強化は、当社の競争力を維持・強化するための重要な要素となります。2024年度から、CTO(Chief Technology Officer)と連携し、中長期的な成長を支える人材像の明確化、その確保・育成に向けた戦略の策定を進めています。また、グループ全体でAIやDXに関する知識の底上げを図るべく、幅広い職種の従業員を対象にトレーニングを開始しました。さらに、選抜されたメンバーにおいて、データサイエンティストやデータエンジニアの育成を目的とした専門プログラムも実施しています。2025年度中には、開発・設計に関わる技術系人材の新規採用を強化していくために、都市部へサテライトオフィスの新設も予定しています。
変化の速い事業環境においても持続的にイノベーションを創出していくために、社内に蓄積されたノウハウを効率的に共有・展開できる仕組みづくりにも取り組んでいます。特にキーポジション(主要幹部職)については、各ポジションで求められる人材要件を明確にし、後継候補者の特定と育成を計画的に進めています。2024年には「グループ人材委員会」を発足し、CEOや事業部門長が中心となって、後継候補者の充足状況や今後の育成プログラムの確認を行っています。
キーポジションに限らず、従業員一人ひとりが能力を最大化し、組織全体の生産性を高めていくために、自律的なキャリア形成の促進にも注力しています。2023年度から、社内公募制度や社内出向制度を導入し、事業部門を越えた人材の異動が加速し、キャリアパスの選択肢も広がっています。そのほか、全社に共通した研修以外に、選抜型の研修の拡充等にも取り組んでおり、未来を担う人材が、自らの意思でキャリアを切り拓ける機会を提供しています。
ステークホルダーの皆さまへ
本中計のスタートから1年が過ぎ、設定した目標に向かって着実に歩みを進めています。今後も、あらゆるステークホルダーの皆さまと対話を重ねながら、2027年経営目標および長期ビジョン「Driving Innovative Impact 2030」の実現を目指して、たゆまぬ挑戦を続けます。引き続き一層のご指導、ご支援を賜りますようお願い申し上げます。
2025年6月
取締役 専務執行役員
CHRO(Chief Human Resource Officer)
コーポレート部門長
田久保 秀明
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