汚染防止と資源循環
基本的な考え方
有害化学物質や廃棄物、排水などの管理については、法規制に基づいた確実な対応が求められます。ダイフクグループは環境汚染防止や、水などの資源の使用量の削減に取り組み、地域社会をはじめとする地球環境への負荷低減を図っています。「ダイフク環境ビジョン2050」では「資源循環の促進」を重点領域の1つとして設定し、製品の長寿命化や生産拠点から排出される廃棄物量の最少化、使用済み製品・部品のリサイクル拡大などに取り組んでいます。
グリーン調達ガイドライン
当社グループでは、製品の含有化学物質に関する判断基準を示す「グリーン調達ガイドライン」を策定しています。近年、有害化学物質の管理に対する規制が強化されており、高まる要請に対応するため、2023年度に本ガイドラインの改定を行いました。本ガイドラインは、当社グループが調達するすべての製品(材料・部品・ユニット・付属品・包装材)およびサービスに適用されます。有害性が懸念される物質が少ない製品、および製品ライフサイクルを通じて有害物質の含有が少ない製品を優先的に調達する方針を示しています。
また、主要取引先については、本ガイドラインをご理解いただき、化学物質の適切な管理を推進していただくため、受領書兼同意書を取得しています(取得率97%)。
グリーン調達プロジェクト
2023年度に、サステナビリティ推進委員会の傘下に「グリーン調達プロジェクト」を発足し、サプライチェーン全体で環境負荷の低減を図るために、取引先と協力しながら当社製品に含まれる化学物質の調査を開始しました。2024年度には、化学物質や各国の法規制に関する理解を深めるため、外部講師を招いて社内研修会を実施しました。さらに、製品含有化学物質を一元管理するための社内システムの構築にも着手しています。
主な取り組み
資源循環の促進KPI
KPI (実績評価指標) | 2024年度(目標) | 2024年度(実績) | 2030年度(目標) |
---|---|---|---|
廃棄物の埋立率 | 国内:1%未満 海外:5%未満 |
国内:0.9% 海外:8.7% |
1%未満 |
廃棄物排出量売上高原単位※1削減率 (2023年度比) |
4% | 6.8% | 23% |
水使用量売上高原単位※2削減率 (2018年度比) |
40% | 37.6% | 60% |
- ※1廃棄物排出量(t)/売上高(億円)
- ※2水使用量(千m3)/売上高(億円)
当社グループは、製造工程で発生する不良品や梱包材などの廃棄物削減とリサイクルを推進しています。グループすべての生産拠点で廃棄物重量のデータを収集し、特に埋立処分量の削減に向けて分別回収を徹底し、再資源化率の向上に取り組んでいます。
また、製造工程で発生する廃棄物だけでなく、お客さまに納入した設備が撤去される際にも資源を有効活用できるよう、製品の設計段階から、素材の見直しや分解容易性の向上に取り組んでいます。さらに、システムの長期安定稼働により廃棄のタイミングを遅らせることも重要な取り組みと位置付け、保守・メンテナンスなどのアフターサービスを充実させています。
水使用量の削減にも取り組んでおり、生産拠点やオフィスでの節水を推進しています。2022年度は滋賀事業所の最も水使用量の多い工場棟において、油圧設備にメーターを取り付け、水使用量の見える化に取り組みました。油圧設備は冷却時に水を使用しますが、設備不稼働時にも多くの水を消費していることが判明したため、油圧タンクの配管に温度センサーを取り付け、一定の油温時のみ冷却するシステムを導入しました。この取り組みにより、当該設備における年間水使用量は前年と比較して約45%削減できました。
廃棄物排出量(国内)※有価物含む
廃棄物リサイクル率(国内)※有価物含む
水使用量(国内)
水使用量(海外)
廃棄物処理委託業者の適正処理確認

事業活動により発生する廃棄物は、法律に基づき適正に処理されなければなりません。廃棄物の処理を許可業者に委託する場合でも、その処理責任は排出した事業者が負います。委託する業者は社内の廃棄物管理規定により厳正に審査し決定していますが、各自治体の条例に従って当社の社員を現地へ派遣し、廃棄物処理の状況を年一回確認するように努めています。
環境汚染防止
化学物質の管理
生産活動の中で使用する化学物質は主に塗料・有機溶剤で、PRTR制度(Pollutant Release and Transfer Register)※の対象となる特定化学物質の現場管理と使用量の管理を行っています。
- ※事業者が人々の健康や生態系に有害なおそれのある化学物質をどれだけ環境(大気、水、土壌)へ排出しているか国に届け出ることにより、化学物質の自主的な管理と環境汚染の未然防止を目的とした制度
PRTR法対象化学物質 排出・移動量
滋賀事業所
2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | |
---|---|---|---|---|---|---|
排出・移動量(kg) | 18,531 | 16,880 | 20,542 | 24,837 | 28,267 | 20,120 |
2024年度 PRTR法対象化学物質 取扱量
滋賀事業所
(kg)
管理物質 番号 |
化学物質名 | 取扱量 | 排出量 | 移動量 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
大気への排出 | 公共用水域への排出 | 土壌への排出 | 埋立処分 | 排出量合計 | 下水道への移動 | その他の移動 | 移動量合計 | |||
37 | ビスフェノールA | 915.30 | ー | ー | ー | ー | ー | ー | 18.31 | 18.31 |
53 | エチルベンゼン | 5,760.50 | 5,760.50 | ― | ー | ー | 5,760.50 | ー | ー | ー |
80 | キシレン | 6,638.92 | 6,638.92 | ー | ー | ー | 6,638.92 | ー | ー | ー |
83 | クメン | 162.68 | ー | ー | ー | ー | ー | ー | ー | ー |
300 | トルエン | 5,113.38 | 5,113.38 | ー | ー | ー | 5,113.38 | ー | ー | ー |
302 | ナフタレン | 135.34 | 99.55 | ー | ー | ー | 99.55 | ー | ー | ー |
594 | ブチルセロソルブ | 1,067.61 | 1,014.23 | ー | ー | ー | 1,014.23 | ー | ー | ー |
629 | シクロヘキサン | 116.93 | ー | ー | ー | ー | ー | ー | ー | ー |
691 | トリメチルベンゼン | 1,446.60 | 1,446.60 | ー | ー | ー | 1,446.60 | ー | ー | ー |
720 | 2-ターシャリ-ブトキシエタノール | 134.63 | ー | ー | ー | ー | ー | ー | ー | ー |
731 | ヘプタン | 242.35 | ー | ー | ー | ー | ー | ー | ー | ー |
737 | メチルイソブチルケトン | 193.01 | ー | ー | ー | ー | ー | ー | ー | ー |
- ※年間取扱量100kg未満の化学物質については、微量として割愛しました。
欧州の有害物質関連規制への対応
欧州の化学物質規制「REACH規則(Registration, Evaluation, Authorization and Restriction of Chemicals)※」に焦点を当てグループ一体となって、製品に含有する有害物質の見える化と排除を推進しています。グリーン調達ガイドラインの運用を通じて、サプライチェーン全体で連携しながら、今後も一貫した環境配慮型製品の提供に努めます。
- ※欧州域内で製造・販売する製品に含まれる化学物質について、行政への登録や安全性評価を義務付けた規制
大気汚染防止
滋賀事業所は、滋賀県の大気環境への負荷の低減に関する条例第25条第1項に基づき、「大気環境負荷低減計画 実施事業場」に指定されており、ばい煙による大気汚染物質の管理、削減に努めています。
2024年度 大気汚染物質実測結果
滋賀事業所(日野町公害防止協定)
物質 | 施設 | 規制値 | 実績 | ||
---|---|---|---|---|---|
最大 | 最小 | 平均 | |||
ばいじん(g/m3N) | 発電機 | 0.1 | 0.009 | 0.005 | 0.006 |
硫黄酸化物(SOx)(m3N/h) | 発電機 | 2.31 | 0.1 | 0.07 | 0.087 |
窒素酸化物(NOx)(ppm) | 発電機 | 950 | 860 | 790 | 838 |
範囲 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | |
---|---|---|---|---|
硫黄酸化物(SOx)排出量(t) | 滋賀事業所※ | 0.074 | 0.115 | 0.147 |
窒素酸化物(NOx)排出量(t) | 5.1 | 4.8 | 6.1 |
- ※事業所内の主な排出源における実測値
水質汚濁防止
国内での水使用量の約7割を占める滋賀事業所では、自社保有の3つの廃水処理施設により排水を管理・処理していましたが、2022年度に順次公共下水への切り替えを行い、2023年3月に完了しました。これは、万が一適切に処理を行えず、異常廃水を放流した場合のリスクや薬剤を取り扱うことによる従業員の生命や健康への影響、廃水処理に要するコスト等を総合的に勘案し、決定しました。処理方法の変更に伴い、下水道法で定められた水質基準を遵守しています。
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