マテハンが環境負荷ゼロで動く世界の実現に向けて「ダイフク環境ビジョン2050」を改定

  • Sustainability

当社グループは2023年5月、環境課題への方針と目標を定めた「ダイフク環境ビジョン2050」を改定しました。気候変動をはじめとする環境課題が深刻さを増す中、マテリアルハンドリング(マテハン)システムが環境負荷ゼロで動く世界の実現に向けて、より高い水準で具体的に行動するための改定です。サプライチェーン全体で責任を果たすとともに、創造したい未来の社会を見据え、ビジョンの実現を目指します。

自然資本の視点を加え、3つの重点領域を策定

経営理念の「モノを動かし、心を動かす。」のもと、当社グループは、世界の人々が心豊かに生きられる社会の創造を目指しています。この経営理念で描く社会を実現するには、次世代の物流システムを先駆けて開発・提供すると同時に、健全な地球環境を守ることが前提となります。そこで当社は、環境負荷低減の具体的な方針と目標を定めており、2023年5月には、2021年に公表した「ダイフク環境ビジョン2050」(以下、同ビジョン)を改定しました。

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マテリアルハンドリングシステムが環境負荷ゼロで動く世界を実現します。世界が取り組むべき重要テーマ「気候変動」と「自然資本」から、ダイフクグループが取り組む重点領域は「気候変動への対応」「資源循環の促進」「自然との共生」の3つです。「気候変動への対応」における目指す姿はサプライチェーン全体でCO2排出ゼロ、「資源循環の促進」における目指す姿は循環型社会の実現、「自然との共生」における目指す姿は自然資本に与える負の影響ゼロです。
「ダイフク環境ビジョン2050」の概要

同ビジョンでは、「マテリアルハンドリングシステムが環境負荷ゼロで動く世界を実現します」と掲げ、取り組む重点領域に、改定前のものに自然資本への視点を加えた「気候変動への対応」「資源循環の促進」「自然との共生」の3つを設定し、その実現を目指す数値目標も上方修正しています。このような改定に至った理由について、取締役常務執行役員でサステナビリティを担当する田久保秀明は「昨今、カーボンニュートラルの取り組みはグローバルで加速しているほか、生物多様性や自然資本に及ぼす影響や企業価値の毀損リスクも指摘されています。こうした社会の要請の変化を踏まえ、より高い水準で具体的に行動していくためです」と説明します。

環境対応の潮流を支持し、取り組みを進める中での改定

当社グループは、国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)で採択された「パリ協定」(2015年)や、石油危機をきっかけに制定された「エネルギーの使用の合理化等に関する法律(省エネ法)」(1979年)、「地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法)」(1998年)など、気候変動に関する様々な協定や法規制を支持・遵守しています。

具体的な取り組みの一つとしては、環境負荷に配慮した製品の提供に努めています。例えば、自動倉庫のスタッカークレーンでは、回生エネルギーを活用する製品を開発し省エネを実現。また、2013年度には滋賀県日野町にあるマザー工場の滋賀事業所に、最大発電容量4,438kWのメガソーラーを設置し、2022年度からは同事業所の使用電力を全て再生可能エネルギー由来に切り替えました。

  • 車両などの減速時に発生するエネルギー

この他、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に賛同を表明し、2020年度にTCFD提言に基づく気候関連のリスクおよび機会の分析結果について公表もしています。

また、環境課題だけにとどまらず、人権なども含めた社会課題をサプライチェーン全体で解決することを目指しています。CEOを委員長とし、各事業部門のトップをメンバーとするグループ横断的な「サステナビリティ委員会」を中心に議論し、活動方針や施策を取りまとめています。その一環で、2021年に「ダイフク環境ビジョン2050」を制定し、さらに今回の改定に至りました。取り組みの進捗状況も同委員会が管理し、重要な事項は取締役会へ報告します。

グローバルで取り組みを強化し、さらに高い目標の達成へ

今回の改定は、当社グループの「ありたい姿」を追求してきた結果でもあります。環境課題の解決に向けて当社の取り組みをグローバルで年々加速させる中、過去にコミットした方針や数値目標の達成が十分に可能と思われた段階で、さらに高い目標に設定し直す。これにより、環境課題解決に果たす貢献度を高めていく。「ありたい姿」を常に追求していく中では、必要なことです。

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2030年環境目標の表。それぞれの重点領域におけるKPI(実績評価指標)と目標。「気候変動への対応」における自社CO2排出量(スコープ1+2)の目標は50.4%削減(2018年度比)、購入した製品・サービスに伴うCO2排出量(スコープ3カテゴリ1)と販売した製品の使用に伴うCO2排出量(スコープ3カテゴリ11)の目標は30%削減(注1)(2018年度比)。「資源循環の促進」における廃棄物の埋立率の目標は1%未満、水使用量売上高原単位(注2)の目標は30%削減(2018年度比)。「自然との共生」における主要拠点(注3)における生物多様性保全活動実施率の目標は100%、サステナビリティアクション(注4)年間延べ参加者数の目標は3万人。注1:スコープ3のカテゴリ1およびカテゴリ11合わせての目標。注2:水使用量(千平方メートル)/売上高(億円)。注3:従業員数100人以上の拠点。注4:サステナビリティに関する啓発・教育のための当社独自のプログラム。
重点領域と2030年の数値目標

同ビジョンの重点領域の一つ「気候変動への対応」では、事業活動に伴うCO2排出量をサプライチェーン全体でゼロにすることを目指します。パリ協定が求める「1.5℃目標」を基準に算定し、2030年までの自社のCO2排出量削減目標(スコープ1+2の合計)を従来の「25%以上」から「50.4%」に引き上げました。また、購入した製品・サービス、および販売した製品の使用に伴うCO2排出量(スコープ3)に関しても、両項目合わせて30%削減目標を新たに設定しました。

  • 2018年度比

サステナビリティ担当役員の田久保は「現在、当社グループは国内外の各拠点で再生可能エネルギーの導入や省エネルギーの取り組みに注力しており、自社のCO2排出量については、ある程度計画に沿って削減することが可能とみています。一方、CO2排出量の内訳は、調達活動や当社製品の稼働に伴う排出量が多くの割合を占めます。したがって、私たちがサプライチェーン全体で目指す姿を実現するためには、お客さまやサプライヤーの皆さまとのさらなる連携が欠かせません」としています。

「資源循環の促進」では、資源の持続可能な利用と使用量削減に努め、製品の長寿命化、廃棄物量の最小化、リサイクル拡大などによって循環型社会の形成に貢献します。

「自然との共生」では、事業活動が地球環境に与える影響を把握し、自然資本への負の影響を最小化し、ステークホルダーとともに自然との共生を実践します。当社は滋賀事業所を中心とする自然豊かな環境において、従業員一人ひとりが自然環境との共存意識を育んできました。2014年に始めた「結いプロジェクト」では、同事業所の約120万m2の広大な敷地に生息する生物の多様性を保全するための活動に取り組んでいます。同事業所で進めてきたこれらの施策をさらに充実させるとともに、活動の輪をグローバルに広げることを念頭に、2030年目標を設定しました。

社外取締役の小澤義昭は「改定後の内容について、他社や環境省の方針と比較しても遜色ないものと感じています。当ビジョンでは当社の『ありたい姿』を提示していますが、それを実現する方法、すなわち戦略的合理性がなければ、絵に描いた餅になってしまいます。当ビジョンの目標を着実に達成するため、今後は国内だけでなく、当社グループの売上高と従業員数ともに約7割を占める海外においても、同様の取り組みを推進することが重要です」と述べています。

お客さまの課題解決と地球環境への貢献を両立させ、心豊かに生きられる社会を創造

資源やエネルギーを使って事業活動を行う者の責任として、環境課題への対応に常に尽力してきました。経済価値と社会価値の両立と向上は、当社の使命です。

代表取締役社長の下代 博は、「世界中の人々が心豊かに生きられる社会を実現するためには、健全な地球環境を守ることが前提であり、気候変動をはじめとする環境問題への対応は極めて重要な経営課題と考えています。環境負荷低減に向けて太陽光発電システムをはじめとする投資を進めていますが、加えて大切なのはグループの従業員一人ひとりが環境問題を自分ごととする意識を持って日々の業務の中で工夫することです。こうした方針のもとで、自社の環境負荷低減の取り組みをグローバルで加速させることはもちろん、お客さまやサプライヤーの皆さまとの連携もこれまで以上に強化し、マテハンシステムが環境負荷ゼロで動く世界を実現します」としています。

ダイフクグループは、お客様やサプライヤー、投資家をはじめとするステークホルダーの皆さまとの対話を重ねながら、サプライチェーン全体で環境課題に対応し、「ダイフク環境ビジョン2050」の実現を目指します。

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