ダイフク流課題解決航空貨物の取り扱い拡大を見据え、高能力仕分けシステムを導入

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日本通運株式会社様(以下敬称略)は2021年10月、兵庫県尼崎市に都市型物流拠点「NEX尼崎」を開設。同施設1階に大阪府豊中市にあった大阪空港貨物センターを移転するとともに、航空貨物の取扱件数の拡大を見据え、中核設備となる仕分けシステムを刷新しました。多種多様な荷物を定時性で届けることを徹底する同社の新センターについて、大阪航空支店 大阪空港営業部 中継課 課長の穐山隆進様にお話を伺いました。

大阪空港貨物センターの役割を教えてください。

当センターは24時間稼働で、西日本エリアにおける国内航空貨物のゲートウェイであると同時に、当社の国内航空貨物ネットワークの重要なハブ拠点でもあります。センター名に「空港」とあるとおり、大阪国際空港(伊丹空港)に発着する航空貨物を扱っています。航空貨物は、急を要する医薬品、精密機器、生鮮品など、リードタイムが短い荷物が多く、遠隔地からでも最短で出荷当日にお客さまのもとにお届けできるのがメリットです。

当センターでは航空便だけではなく、トラック便にも対応しています。全国から届いた荷物を仕分けして、当社の関西エリアの各店舗に送り出す一方、関西エリアの店舗で集めた荷物を地域・方面別に仕分けして全国に発送しています。

大阪空港貨物センターが1階に入居する都市型物流拠点「NEX尼崎」

センターの1日の流れを教えてください。

当センターでは、午前10時までに伊丹空港に到着する荷物を、関西エリアの各店舗が午後から配送できるように仕分けを行っています。この作業は昼前にいったん落ち着きますが、その後は関西エリアの各店舗からの発送荷物が集まってきますので、午後から翌早朝にかけても作業は続きます。特に荷物が集中する午後8時から翌朝5時頃まで、センター全体がフル稼働しています。

NEX尼崎への移転を決めた背景と、立地について教えていただけますか。

以前は大阪府豊中市に拠点がありましたが、荷物の取扱個数が増えてくる中で、センターの処理能力が限界に近づき、数量拡大に対応できなくなることが予測されてきました。また、各種設備も老朽化していたことなどから、移転を決めました。新センターは名神高速道路尼崎ICより約1.6km、伊丹空港より約10kmとアクセスが良く、さらに住宅地に近く尼崎駅からの徒歩圏内であることから、労働力が確保しやすい立地にあります。通常、物流拠点は郊外に建設することが多いですが、NEX尼崎は都市型物流拠点で、当社にとって新しい試みの1つです。

移転を機に仕分けシステムを刷新された理由を教えてください。

一番の理由は、旧センターで使用していた仕分けシステムが耐用年数を迎えていたためですが、それだけではなく、旧センターの仕分けシステムでは増加する数量に対して処理能力に限界があったので、全面刷新することを決めました。

より高い処理能力を求め、クロスベルトソーターを選択

ダイフクのクロスベルトソーターを採用いただいた理由を教えてください。

当センターはさまざまな荷物を扱っています。荷物の大きさや重さ、形状が違うだけでなく、梱包材も段ボールだったりビニールだったりと多種多様で、それらに対応しなければなりません。当社がお客さまに提供できる価値の1つは定時性です。お約束の時間にお届けするために、品質を維持した上で多彩な荷物を自動で捌くにはどのようにしたらよいか、その答えがクロスベルトソーターでした。また、ダイフクさんとは10年以上のお付き合いで、当社の作業をよく理解いただいており、サポート体制を含めた信頼感があったことも大きな決め手となりました。旧センターではスラットコンベヤ上を荷物が流れ、分岐点に来るとシューが荷物を押し出して仕分けするスライドシュー方式でしたが、今回はレール上を走る連結した台車に荷物を載せてベルト駆動で仕分けするクロスベルト方式に変更しました。

クロスベルト方式は台車を個別に管理する仕組みで、これによって処理能力が向上したほか、万が一、台車が故障した場合も、その台車に荷物を載せないように設定すればよいので、ライン全体を止めることはありません。物の流れを全て止めなくてよいというのは、大きなポイントです。

また、ダイフクさんの高能力仕分けシステム「クロスベルトソーター」は、1つの台車に2つのベルトを搭載し、小さい荷物は1ベルト、大きな荷物は2ベルトで、多彩な荷物を効率的に仕分けることのできる製品です。

  • 連結した台車に荷物を載せてベルト駆動で仕分けする

  • 小さな荷物は1ベルトで、大きな荷物は2ベルトで搬送される

刷新にあたってどのような点を重視しましたか。

最大のテーマは処理能力の向上です。旧センターでは荷物の投入口から仕分けを行うソーターまでのコンベヤの長さが短かったため、一度に大量の荷物を投入すると処理できなくなるという問題を抱えていました。新センターでは投入口から仕分けシステムに続くコンベヤがバッファとして機能するように十分な距離を設けるとともに、投入コンベヤを4本に増やしました。

仕分けシステムの方式を変えたこともあり、時間当たりの処理能力は旧センターでは、最大7,500個だったのに対して、新センターでは1万2,000個まで対応できるようになりました。

4本のコンベヤでクロスベルトソーターの投入口に荷物が運ばれる

センター内での荷物の流れについて教えてください。

入荷した荷物はスタッフが手作業でコンベヤに投入し、台車に載るサイズであればクロスベルトソーターに搬送されます。ゴルフバッグやロールスクリーンのような大型・長物の荷物は手仕分けラインに投入し、スタッフが待機するエリアまで運ばれ取り扱われます。

クロスベルトソーターでは台車に荷物の情報が紐づいており、台車が行き先のシュートに差し掛かると、台車のベルトが駆動して荷物をシュートに払い出します。シュートの先端では、スタッフが手作業で航空貨物用のコンテナや、かご車への積み付け作業を行い、トラックに積み込んで出荷します。

  • コンテナからコンベヤに人手で荷物を投入する

  • 地域・方面別に仕分けられた荷物はかご車に積み付けられる

新システムの静粛性を実感、労働環境も改善

新しい拠点への引っ越しはかなり大変だったのではないでしょうか。

引っ越し自体は当社で従来から携わっている業務のためそれほど問題ではなかったのですが、引っ越しの間も荷物の取り扱いを止めるわけにはいきませんから、移行時は旧センターと新センターの両方を稼働するなどの運用を行いました。導入初期にはトラブルもありましたが、ダイフクさんは何か問題があると迅速に対応してくれるという信頼もあり、その点は安心してスタートすることができました。

新センターでは騒音対策に力を入れているとお聞きしています。

新しい仕分けシステムは以前のものよりも静粛性に優れています。ダイフク滋賀事業所でデモ機を見せていただいた際に静かだと感じましたし、センターで稼働させて、改めてその静かさを実感しています。旧センターでは会話の際に声を大きくする必要がありましたが、新センターでは普通に会話ができるなど、労働環境も改善されています。加えて、都市型の拠点のため、仕分けシステムを設置した1階の壁には遮音性に優れた素材を用いることで音が漏れにくい仕様にするなど、周辺の住環境に配慮しています。

19本のシュートを備えるクロスベルトソーター

最後に、今後の展望についてお聞かせください。

物流業界では以前から労働力不足が続いており、今後もこの状況の解消は困難であるとは思いますが、都市部に位置するNEX尼崎のアドバンテージを最大限に活用した上で、さらなる省力化の実現を目指していきたいと思います。そして、作業の効率化と、労働環境の改善を推進することで、より一層スピーディーかつ高品質なサービスをお客さまへ提供し続けてまいります。

日本通運株式会社 大阪航空支店
大阪空港営業部 中継課 課長
穐山 隆進 様

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