もっと便利に、もっと快適に ダイフクの空港向けソリューション

  • Innovation

当社グループでは、空港のスマートエアポート化、セキュリティ強化、手荷物搬送の正確性・効率性向上などに貢献する幅広い空港向けソリューションを提供しています。ダイフクの空港向けソリューションについて、エアポート事業部 エアポート本部 制御設計グループの榎原慎悟グループ長が解説します。

混雑緩和の一端を担うダイフクの空港向けソリューション

2020年以降、航空業界は新型コロナウイルス感染症の影響で厳しい状況にありましたが、2023年は海外渡航ニーズも復調傾向で、かつての活況が戻りつつあります。空港における設備投資の意欲は堅調で、既存施設の設備更新や手荷物搬送能力の向上、セキュリティの強化などへの引き合いに加えて、北米市場では新ターミナルの建設やリニューアル計画が進められており、さらなる活性化が期待されます。また社会インフラである空港は設備更新のときも機能を止めることができず、万が一のシステムトラブル発生時でも業務が継続できるサービス体制や設備の冗長性が求められます。

空港が搭乗者にとってより便利で快適で、空港や航空会社のスタッフが働きやすい環境であるために、どういったシステムが注目されているのか、ダイフクが提供するソリューションをご紹介します。

MITの納入実績
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北米で数多くの無人搬送車式手荷物検査システム(MIT)が稼働しています。
SBDの設置台数
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世界の空港に納入したセルフ手荷物チェックインシステム(SBD)の数です。
搬送速度
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手荷物搬送システム「バゲージトレイシステム」の搬送速度は世界最速級です。

手荷物の預け入れから航空機への積み込みまで

空港内のシステムはヒトとモノの流れに大別できます。搭乗者はまずチェックイン手続きを行うと同時に手荷物を預け入れ、保安検査場を通って航空機に搭乗し、目的地の空港で手荷物を受け取ります。
一方、受託手荷物はヒトとは別のルートで搬送され、同じ航空機に積み込まれて目的地まで届けられます。

昨今は空港でもスマート化が進み、ダイフクでは、利用者がご自身で手荷物の預け入れを行う「セルフ手荷物チェックインシステム」や、機内持ち込み手荷物のセキュリティチェックを行う「スマートセキュリティレーン」、受託手荷物を仕分けして搬送する「手荷物搬送システム」などを提供しています。

ダイフクの空港向けソリューション

画面を拡大してご覧下さい。

セルフ手荷物チェックインシステム

自動化によって手荷物の預け入れ作業を効率化し、スタッフの業務負荷軽減に貢献する

保安検査場スクリーニングシステム

搭乗者が機内に持ち込む手荷物の検査を行い、セキュリティ強化や運営効率化を図る

空港運営システム

フライト情報や運航状況など、空港でのさまざまな情報提供を支援する

システム監視

手荷物搬送システムの稼働状況をモニタリングし、空港運営の効率化と正確性を実現する

手荷物搬送・仕分けシステム

ベルトコンベヤやチルトトレイソーター、高速かつ正確に搬送する「バゲージトレイシステム」など、空港の規模やニーズに合った最適なシステムを提供している

セキュリティシステム

爆発物検知システムにより、受託荷物の不審物の有無を正確かつ効率的に検査する

メンテナンス&オペレーションサービス

手荷物搬送システムをはじめ、搭乗ブリッジや地上支援設備などの保守などを行い、安定した設備運営を提供する

手荷物一時保管システム

アーリーチェックインや乗継時の手荷物を一時保管し、フライト時刻に合わせて出庫する

バゲージクレーム

あらゆる形や大きさの手荷物に対応できるカルーセルコンベヤによって、同時に数多くの受託手荷物を受け取れる

空港では手荷物の預け入れから航空機への積み込みまでを限られた時間内で行う必要がある一方で、空港の大型化や搭乗者数の増加に伴い、手荷物搬送システムは高い処理能力が求められています。また、手荷物搬送システムは不測の事態にも処理能力を維持できるように、必ず代替レーンが用意されています。そのため、総延長は長くなり、高低差も合流・分岐もあって経路選択が複雑になりますが、航空機の運航に影響しないように搬送し続けることが何よりも優先されます。

取り扱う手荷物の形状やサイズは多種多様です。スーツケースだけでなく、ゴルフバッグやベビーカー、傘などもあれば、バックパックや土産物バッグなど形状が不安定なものもあり、そのすべてを安全かつ確実に搬送しなければなりません。

セルフ手荷物チェックインシステム。搭乗者が自らチェックインを行い、手荷物タグをつけて預け入れる。手荷物の総重量もここで確認される。

保安検査場の混雑緩和にレーンの形状を工夫

チェックインと手荷物の預け入れが済むと、搭乗者は保安検査場を通って搭乗口へと向かいます。検査方法は空港によって多少の違いがあるものの、機内に持ち込む手荷物をトレイに載せて手押しで専用レーンに通し、搭乗者は手ぶらでボディチェックゲートを通るのが一般的です。保安検査場は常に混雑傾向にあり、前の人が進まない限り後の人は待つしかありません。前方で手荷物の移し替えに手間取ったり、手荷物が再検査になったりするとますます時間が掛かります。

そこでダイフクが提案しているのが「スマートセキュリティレーン」です。トレイに手荷物を載せて検査機を通すという基本の仕組みは同じですが、スマートセキュリティレーンはレーンの形状を工夫することで、複数名が同時に検査の準備を進められるようになりました。また、検査機を通った手荷物はRFIDを使って自動でチェック済みレーンと追加検査レーンに振り分けられます。

一般的には使用済みのトレイは、スタッフが回収して保安検査の入り口まで運搬しますが、スマートセキュリティレーンはレーンを上下の二層にし、上段を検査用、下段をバゲージトレイの自動返送用レーンとしました。使用済みのバゲージトレイを所定の場所に置くと自動で回収されて下段のレーンに入り、検査と逆の流れで保安検査の入り口に戻る仕組みです。また、下段のレーンには紫外線殺菌灯が設置されており、次の利用者は気持ち良くトレイを使用できます。

機内持ち込み用手荷物のセキュリティチェックを行う「スマートセキュリティレーン」。複数の利用者が同時に検査の準備を進められるように、レーンは直線ではなく、独特のカーブを描いている。

高い処理能力が求められる手荷物搬送システムを適切に制御

一方、受託手荷物はチェックイン時に発券されたバーコードのシールを貼られて搬送用レーンに入っていきます。このバーコードには持ち主とフライト情報が織り込まれているため、手荷物がバーコードリーダーを通過すると同時に、メイクアップカルーセルまでの最適な搬送経路を自動で導き出します。

1日数便程度の空港なら経路はシンプルですが、1日に何百便も往来するハブ空港では処理数も膨大です。しかも手荷物は必ずしも出発順に預けられるわけではなく、時間に余裕がある手荷物もあれば、出発時間が目前に迫った手荷物もあり、それぞれに適した経路を割り出して仕分け・搬送を行います。

また、想定外に手荷物が増えて滞留が起きたり、ゴルフバッグや傘が引っかかったり、何かしらのアクシデントでスムーズに搬送できないケースもあります。ダイフクではリアルタイムでモニタリングできるシステムも用意し、荷物の滞留が起きている箇所がないか監視できるようになっています。

受託手荷物を搬送する過程で必ず行わなければならないのが、セキュリティチェックです。手荷物はコンベヤに載ったまま検査機を通り、アラートが出たら再検査します。多くの空港ではスタッフが手荷物をコンベヤからいったん下ろし、再度検査機を通しますが、手荷物の上げ下ろしはスタッフの身体に大きな負担となっています。

自走する手荷物検査台で、検査員の負担を軽減

ダイフクではグループ会社のJervis B. Webb(Webb)社が開発した「無人搬送車式手荷物検査システム(MIT)」は、無人搬送車(AGV)を活用したシステムで、AGVが手荷物を載せて自走します。アラートが出た場合は検査員の元まで手荷物を搬送し、AGV上に設置された台上でそのまま検査できるため、手荷物の上げ下ろし作業が発生しません。重い荷物の上げ下ろしや無理な姿勢での検査作業がないため、省力化にもつながります。設置工事が不要な反面、MIT運用には複数のAGVが自走できる空間が必要であることから、特に空港の新設やターミナルの増設など、空間を確保できる場合におすすめしています。

  • 2024年1月、Daifuku Airport America Corporationに社名変更しました。

Webb社の無人搬送車(AGV)を活用した「無人搬送車式手荷物検査システム(MIT)」。1台のAGVに1個の手荷物を載せて空港内を自走し、セキュリティチェックでアラートが出た手荷物を検査員の手元まで搬送し、検査が終わると元のレーンに自走して戻す仕組み。

技術を組み合わせて、今までにないソリューションを提供

セキュリティチェックを終えた手荷物は、航空機に積み込むためのコンテナに入れられます。早々に預け入れられた手荷物は一時保管し、所定の時間になったら積み込みます。手荷物の預け入れは出発2時間前から受け付けるのが一般的ですが、ダイフクでは手荷物を一時保管するシステムを提案しています。これにより、もっと早く手荷物が預けられるようになると、出発前に空港で買い物や食事、観光を楽しむこともできるようになります。

現在、ほとんどの空港では、手荷物の形状やサイズがあまりに多様なため、コンテナへの積み替え作業はスタッフが行っています。重い手荷物の積み替えは重労働であることから、自動化ニーズが高いと考えています。また、ICタグを活用した手荷物管理など、システム化・自動化が進めば、空港はますます便利に快適になるでしょう。

このようにトータルソリューションとして提供できるのは、ダイフクのグループとしてのシナジーがあるからです。米州や欧州、アジア、オセアニアに独自の技術を有するグループ会社があります。私たちは各社の得意とする技術を組み合わせることで、社会課題を解決するための新しいソリューションを今後も提供していきます。

榎原慎悟

株式会社ダイフク
エアポート事業部 エアポート本部 制御設計グループ
グループ長

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