空港から実現する快適な空の旅、「JAL SMART AIRPORT」の取り組みとダイフクの自動化システム
日本航空株式会社(JAL)様(以下、敬称略)は2020年より、ITを活用したきめ細やかなヒューマンサービスと、最新技術を活用した効率的で快適なセルフサービスを組み合わせた「JAL SMART AIRPORT」を推進しています。中でも手荷物預けのスマート化では、ダイフクの自動化システム導入により、待ち時間の短縮と手荷物搬送の効率化を実現しました。本取り組みについて、JAL空港企画部の篠塚智大様と、JALデジタルの大川拓馬様に話を伺いました。
全てのお客さまにとって快適な空港を目指して
「JAL SMART AIRPORT」は、スムーズな移動、落ち着いた手続き環境、豊富な手続き方法の選択肢、ニーズに合わせたサポート、そして「旅全体」へのサポートという5つのコンセプトのもと構築されたサービスです。現在、国内21カ所の空港に導入されており、以前は有人カウンターで行う必要があったチェックインや手荷物預けの手続きを、セルフで行えるようになりました。
篠塚様はスマート化の狙いをこう語ります。 「全てのお客さまに空港を快適にご利用いただけるよう、5つのコンセプトを設定しました。具体的なサービスの検討にあたっては、空港スタッフが有人でしかできない対応や、お手伝いを必要とする方への支援に注力できる環境づくりを重視しました。セルフ化の推進によって、空港スタッフがカウンターを離れてお客さまに直接声掛けできるようになったほか、車いすをご利用の方など本当にカウンターでのサポートを必要とされる方に、時間をかけて向き合えるようになりました」
篠塚 智大 様
環境づくりにおいて重要となるのが、手荷物の預け入れや搬送の自動化です。東京国際(羽田)・新千歳・那覇・大阪国際(伊丹)・福岡の国内線5空港では、自動チェックイン機とダイフクのセルフバッグドロップ(自動手荷物預け機)を導入しました。自動チェックイン機で手荷物タグを発行・貼り付けし、セルフバッグドロップに預けて引換証を受け取れば、手続きが完了します。
大川 拓馬 様
セルフバッグドロップには、JALの要望を反映した独自のカスタマイズが施されています。大川様は、操作性とカスタマイズへのこだわりをこう語ります。 「どれほど便利なシステムでも、使い方が分かりにくければ利用されません。誰でも直感的に次に押すべきボタンなどが分かるような設計を重視しています。また、預け入れ口のデザインや、フロントスクリーンでの情報表示など、あらゆる点においてJALらしさを表現できるよう、ダイフク様には柔軟にご対応いただきました。こうしたカスタマイズへの対応力も、採用の重要な評価ポイントとなっています」
導入の効果は数字にも表れています。かつて繁忙期にはカウンターで30分程度の待ち時間が生じるケースもありましたが、現在は手続き完了まで5分以内に短縮されました。搭乗後のアンケートでも、「スムーズ性」の項目で高い評価を得ています。 大川様は入社1年目に福岡空港の空港スタッフとして勤務した経験を振り返ります。 「お客さまを自動チェックイン機やセルフバッグドロップにご案内すると、『こんなに簡単なのね』『次は一人でできそう』と、うれしいお言葉をいただくことがありました」 自動化によって利便性を高めると同時に、空港スタッフが一人一人に寄り添った対応をする――これが「JAL SMART AIRPORT」の提供価値です。
広大な空港で手荷物の位置情報をリアルタイムに把握
空港内にはヒトとモノ、2つの流れがあります。それぞれ異なるルートを通りながらも、同じ航空機で目的地へ向かいます。 羽田空港は国内線と国際線を合わせて年間9,158万人(2025年)が利用する日本最大の空港であり、発着便数も世界トップクラスです。当然、預かる手荷物の量も膨大で、限られた時間内で確実に航空機に搭載する必要があります。全ての手荷物が積み込まれていなければ、出発できず遅延が生じます。 こうした課題を背景に採用されたのが、ダイフクの手荷物搬送システム「バゲージトレイシステム」です。セルフバッグドロップで預けられた荷物は、セキュリティチェックを経て航空機まで自動搬送されます。
「手荷物を一つ一つトレイに乗せて識別情報をひもづけ、搬送中の手荷物の位置情報をリアルタイムに把握できることが採用の決め手となりました。これまでは、手荷物預け後の急な搭乗取りやめや持ち込み制限品に対応する際、コンベヤを流れる荷物から人手で該当する荷物を探していましたが、この作業が大幅に効率化されました。また、羽田空港は南北にターミナルが分かれており、搭乗とは別のターミナルで預けられた荷物の長距離搬送が必要なケースもありますが、バゲージトレイシステムによりスピードと品質を担保しながら対応できています」(篠塚様)
空港の規模・特性に応じた全国展開
「JAL SMART AIRPORT」は大規模空港に加え、地方空港にも展開が進んでいます。ただ、地方空港では大規模空港に比べて設備導入のためのスペース確保が難しいケースもあり、同じ仕組みをそのまま導入できない空港もあります。
こうした課題を考慮し、地方空港で導入されているのがダイフクのDrop-UX T(手荷物引換証発行機)です。備え付けの計量器に手荷物を載せ、自動チェックイン機で発行した手荷物タグをハンドスキャナーで登録するだけで、手荷物の計量と預け入れができます。セルフバッグドロップと比べてスペースを取らない上、カウンターに寄らずに検査場へ手荷物を持ち込めるため、チェックインに対応する空港スタッフの人数を最小限に抑えながら、混雑を緩和することができます。2024年春に名古屋(中部)・大分・鹿児島・熊本の4空港で導入され、その効果を受けて、現在は国内16空港へと展開が広がっています。
また、地方空港は高齢の利用者が多い傾向があります。今後はお客さまの誰もがより操作しやすいよう、画面の文字サイズの拡大機能や音声案内機能を追加するなど、各空港の利用者の傾向に合わせて機能面の充実を図りながら、展開を続ける計画です。
「JAL SMART AIRPORT」の展開により、お客さまは長い待ち時間から解放され、より快適に空港を利用できるようになりました。さらには空港スタッフもまた、カウンター業務に追われるのではなく、一人一人のお客さまに寄り添うサービスへと進化しています。 全ての人が快適に利用できる空港を目指す取り組みの中で、ダイフクの自動化ソリューションもその実現を支える一翼を担っています。
日本航空株式会社 空港企画部 旅客サービス企画グループ 主任 篠塚 智大 様
JALデジタル株式会社 デジタルデリバリー部 空港旅客グループ 大川 拓馬 様