物流は経営の根幹。サンゲツが実現する出荷まで2.5時間のオペレーション
インテリア商材の業界で国内トップクラスのシェアを誇る株式会社サンゲツ様(以下敬称略)。同社は、物流を顧客価値創出の基盤と位置づけ、その高度化を長年にわたり推進してきました。現在では、受注から出荷までを2.5時間で完了する体制を実現しています。西日本の基幹拠点である関西ロジスティクスセンターにて、その背景にある考え方や仕組みについて、執行役員でロジスティクス部門ゼネラルマネージャーの内藤孝二様と、同センター長の橋本朋樹様に話を伺いました。
内藤 孝二 様
サンゲツでは、必要な時に、必要な量を、品切れなくお届けすることを物流の基本方針に据えています。内装工事は施工の最終工程にあたるため、現場では直前の仕様変更や追加発注が発生しやすく、当日中の納品を求められるケースも少なくありません。そうしたニーズに応えるため、物流は効率化にとどまらず、顧客満足や信頼を左右する機能と位置付けています。
「素材力・デザイン力・物流力・施工力。この4つがサンゲツの強みです。中でも物流は、価値創造の源泉だと考えています。工期の最終段階で発生するお客さまの要望にお応えするため、当社は物流を経営の根幹として磨き続けてきました」(内藤様)
西日本の物流を支える基幹拠点
2021年に開設された関西ロジスティクスセンターは、従来の複数拠点を統合して構築された西日本の基幹拠点です。大阪市淀川区に立地し、延べ床面積は約4万3,880m2で、従来に比べて面積を約1.6倍に拡張しています。関西エリアへの配送に加え、中国・四国・九州のサブセンターへの供給、輸入商材の受け入れや中継輸送のハブとしての役割も果たしており、西日本の物流ネットワークの中核を担っています。
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壁紙を保管するパレット自動倉庫
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ロール状の壁紙は専用のボックスパレットに格納している
入荷した壁紙はロール状で荷姿が安定しにくいため、専用のボックスパレットに格納した上で自動倉庫に入庫します。自動倉庫は建屋高さ7.1mの空間を活用し、保管効率を確保しています。
保管エリアについても、受注データや運用実績を分析し、商品ごとの出荷傾向に応じて最適化しています。大口注文への対応では、スタッカークレーン式のサイドピッキングシステムも活用しています。また、出荷頻度の高い商品はピッキング効率を優先した棚に、裁断工程との連携が重要な商品はその近くに配置するなど、オペレーション全体を見据えた設計となっています。
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スタッカークレーンで在庫を自動補充する
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ラックサイドから商品をピッキングして、ベルトコンベヤに直接投入できる
自動化と人の判断を組み合わせ、受注から2.5時間での出荷を支える
壁紙物流の中核となる裁断工程では、ダイフクが開発したロール用回転ラック「ロールマスター」を導入し、250m巻きの特別製ロールの計測から巻き取り、カット、包装までを一連で処理できる体制を構築しています。手作業に比べて作業負荷が軽減されると同時に、計測ミスなどのばらつきも抑えられ、安定した品質での出荷が可能になります。裁断によって減少した在庫はリアルタイムでデータに反映され、必要に応じて自動的に補充指示が出されます。
また、センターではGTPを採用し、作業者が持ち場を離れることなく商品をピッキングできる仕組みを構築。AGVによるフロア間搬送も行い、生産性の向上を図っています。そして、ピッキングや裁断、包装が完了した商品は、コンベヤで搬送され、配送先ごとに仕分けされた後、出荷エリアへ送られます。
橋本 朋樹 様
こうした自動化を進める一方で、出荷指示にはオペレーターの判断も組み入れています。
「当社では1日に5~6回の受注締めがあり、そのたびに在庫状況や物量、優先度を確認しながら出荷指示を調整しています。建築業界では突発的な注文変更も多く、繁忙期には物量が通常の1.5倍以上に増えることもあります。こうした変動に対応するため、オペレーターによる判断も組み入れて運用しています」(橋本様)
長年の協業で、現場の課題を一つずつ解決してきた
サンゲツとダイフクの取り組みは、1980年代に始まりました。当時は、壁紙を床に広げてメジャーで測りながら裁断する手作業が中心で、作業負荷の高さや、効率・品質のばらつきが課題となっていました。
「事業の成長を支えていくには、こうした作業を従来の方法のまま続けることには限界がありました。そうした中で、ダイフクには現場の課題に向き合いながら、計測・裁断・搬送を一体化した仕組みを段階的に提案、実装していただきました」(内藤様)
ダイフクに対しては、設備そのものの性能だけでなく、課題解決に向けた提案力や、納期を守る対応力、導入後の保全も含めた一貫した体制を高く評価しているといいます。
「当社には『お客さまにお届けすると言ったら必ず届ける』という考えがあります。ダイフクの『納期を守る』という姿勢には強く共感しています。単に設備を納めるのではなく、物流全体について相談に乗っていただける、心強い存在です」(内藤様)
自動化の先にある、働きやすい物流現場へ
サンゲツが進める自動化・省人化は、作業負荷の高い工程の機械化にもつながっており、その結果として、働きやすさの向上や、多様な人材が活躍しやすい職場環境の整備にも寄与しています。
「自動化が進み、働きやすい環境が整うほど、人が集まりやすくなってきたと感じています。重労働を減らすことで、より多様な人材が活躍できる現場になりますし、それ自体が社会的な価値にもつながると考えています」(内藤様)
今後の課題としては、検品工程の自動化や、トラックへの積み込み作業の自動化が挙げられています。「重量物のハンドリングや積み込みなど、難易度の高い領域についても、今後さらに提案を期待しています。ダイフクは数十年にわたって、物流のパートナーとして、事業の急成長期にも二人三脚で出荷を支えてきてくれました。これからも、ともに最適な物流のあり方を追求していければと思います」(内藤様)
物流を顧客価値の源泉と位置づけ、商品特性に即した仕組みを積み重ねてきたサンゲツ。関西ロジスティクスセンターの取り組みは、高い品質とスピード、そして柔軟性を両立できることを示しています。
内藤 孝二 様
株式会社サンゲツ
執行役員 ロジスティクス部門 ゼネラルマネージャー
1994年、株式会社サンゲツに入社。営業、商品開発、調達業務などを経験した後、2014年に床材事業部 購買課長に就任。2019年に床材事業部長、2023年より床材ユニットマネージャーを務める。2026年4月より、執行役員 ロジスティクス部門 ゼネラルマネージャーに就任。
橋本 朋樹 様
株式会社サンゲツ
ロジスティクスセンター統括室 関西ロジスティクスセンター長
1995年、株式会社サンゲツに入社。物流部門での業務経験を経て、2009年に中国四国ロジスティクスセンター長に就任。その後、本社物流部での物流企画、九州ロジスティクスセンター長を経て、2022年9月より関西ロジスティクスセンター長に就任。