変化の先を捉え、マテハンの未来を創造

マテリアルハンドリングを取り巻く環境の変化が加速する中、ダイフクグループは2030年に向けて新たな取り組みを進めています。2026年1月に代表取締役社長CEOに就任した寺井友章が、先端技術の開発、グローバル展開、社会課題への挑戦について語ります。

社是「日新」のもとで、2030年の未来を描く

私は入社以来、半導体生産ライン向けシステムを手掛けるクリーンルーム事業に携わり、米国や台湾への長期駐在などを経験してきました。半導体分野は環境変化が早く、日々寄せられるお客さまの要望に向き合う中で、次に求められる技術や仕組みを先回りして考え、迅速に形にしていくことが仕事の進め方として自然なものになっていきました。この分野で仕事に向き合う上では、これまでの枠にとらわれず、新しい視点や方法を取り入れていくことが欠かせません。社是の「日新」は、こうした考え方そのものであり、日々の判断や行動における拠り所として私自身の中に根付いています。

半導体工場で活用されている搬送システムのCGイメージ

ダイフクグループが扱うマテリアルハンドリング(マテハン)は、技術や市場の変化とともに、高度化が求められています。その中で、2030年のありたい姿として長期ビジョン「Driving Innovative Impact 2030」を掲げています。目指しているのは単なる事業成長だけではありません。AIやロボティクスなどの先端技術を取り込みながら、お客さまの現場や社会の中に、新しい価値を具体的な形として生み出し続けていくことです。

ダイフクが描く将来像の一つ、完全無人化した物流センターのCGイメージ

先端技術の開発とグローバル展開を推進

近年、マテハンを取り巻く技術の進化が急速に進んでいます。中でもAIは、実世界の動きや環境変化を認識し、自律的に判断・行動する段階に入りつつあります。こうした技術によって、ヒューマノイドロボットに限らず、自動倉庫や搬送ロボットといった従来のマテハンの可能性もさらに広がっています。

各事業共通で活用できる先端技術の開発などを担う東京Lab

先端技術への取り組みを推進する研究開発拠点として、2025年11月に京都Lab、2026年3月に東京Labを開設しました。京都Labでは、各事業に紐づいた先端技術の開発を進めています。一方、東京Labは、事業の垣根を越え、中長期的な視点でAIやロボティクスといった共通基盤となる技術を磨く拠点です。東京・京都という立地を生かしながら、高度専門人材の採用や大学など社外との連携も進め、技術を現場につなげるスピードを高めていきます。

ダイフクグループはグローバルで事業を展開していますが、国や地域ごとに見ると、まだ大きな伸びしろがあります。そこをどう伸ばしていくかも大きなテーマです。その実現に向けて重要になるのが、現地のニーズに合わせたモノづくりへの転換です。米国のイントラロジスティクス事業では、日本で設計・開発した製品を持ち込み、現地仕様に置き換えて展開してきました。しかし、現地の市場が求める仕様や条件に最初から合わせて設計・開発する方が結果としてお客さまへの対応も速くなります。そこで、生産を中心に進めてきた地産地消を、開発まで含めた形に広げるため、日本から開発メンバーを派遣し、現地の体制構築を進めています。

一人ひとりが主体的に挑戦する組織をつくる

事業の成長も技術の進化も、それを支えているのは「人」です。お客さまから寄せられる要望に真摯に向き合い、諦めずにやり遂げる。その積み重ねこそが、ダイフクのDNAであり、これからも変えてはいけない強みだと考えています。

一方で、事業が成長し組織が大きくなるほど、目の前の業務に注力する中で、先を見据えて自ら動くことが難しくなる面もあります。だからこそ、社員一人ひとりが主体的に考え、挑戦していく姿勢が、これまで以上に重要になります。そうした挑戦を会社として後押しする環境を整え、柔軟な発想と自由な思考で、未来に向けた試みに踏み出せる組織をつくっていきます。その考えを現場の中に根付かせていくため、私自身が国内外の社員に直接、自らの言葉で繰り返し伝えていきます。

社会課題の先に、新たな事業を育てる

2025年の大阪・関西万博で、河川を漂流するごみを回収するロボットの実証実験について説明した

技術の進歩によって、マテハンは、従来の枠を超えた役割を担うようになってきました。人手不足や過酷な作業環境といった状況下において、AIやロボティクスをどのように現場で生かしていくかは、多くの業界に共通するテーマになっています。例えば河川に漂流するごみの問題では、AIによる画像認識と自動回収の技術を組み合わせ、将来的には回収から分別までを一貫して自動化する可能性を探っています。農業の分野でも、従事者の高齢化が進む中、屋内での自動化を見据えた展開を模索しています。

いずれも、最初から事業として完成しているものではありませんが、技術を組み合わせ、検証と改善を重ねながら、事業として成立させていくことを目指しています。社会課題の解決に取り組むことにとどまらず、その取り組みを、事業として育てていくこと。それが、経済価値と社会価値を両立させていくということだと、私は捉えています。

先端技術の開発、グローバル展開、そして社会課題への挑戦——2030年に向けて、それぞれを着実に前へ進めることで、マテハンの新たな可能性が広がり、未来が切り開かれていくものだと考えています。私たちは、これからもお客さまや社会に新しい価値を提供し続けてまいります。

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