生産性向上を導くモノづくり改革の現場

ダイフクでは、作業の自動化やデジタル化を軸にしたモノづくり改革を、設計・製造・生産設備の各チームが連携して進めています。改革を推進するカギは技術進歩に合わせた思考の転換であり、実務を担う社員の意識の変革です。今回は、生産設備の担当者の視点から改革の取り組みをひもときます。

ダイフクが掲げる2030年の長期ビジョン「Driving Innovative Impact 2030」の実現に向け、モノづくり改革は重要な取り組みの一つとして位置づけられています。改革を本格化させた契機が、コロナ禍によるサプライチェーンの混乱でした。部品調達の停滞が生産体制に大きな影響を及ぼしたことから、外部環境の変化に左右されにくい、より強靭なモノづくり体制への転換が急務となりました。

こうした課題に対応するため、物流センターや工場向けのマテリアルハンドリングシステムを手掛けるイントラロジスティクス事業部は、モノづくり改革に向けた部署を立ち上げました。メンバーには、新しい取り組みを推進できる経験・スキルを有し、既存の生産システムの刷新に対応できる人材が選ばれました。

上嶋 真二

その1人が、生産設備の側面からモノづくりのマネジメントを担当する上嶋真二です。入社以来、各種製品の組み立てに携わった経験から担当課長を任された上嶋は、当時をこう振り返ります。

「まずは改革の方向性を探るべく、チームのメンバー全員で他社の生産現場や展示会を回り、技術動向や活用事例を調査しました。自分たちの想像以上にモノづくりは進化していると実感しました」

設備の導入担当としてチームに加わった川合雄斗は、「知識では理解していたものの、実際にモノづくりの自動化や、それを支える設計の3D化が進んでいる現場を目の当たりにし、大きな衝撃を受けました」と話します。

上嶋らは視察から得た気付きを取り組みに結び付けるために、社内の有識者から助言を求め検討を重ねました。

生産ラインを刷新し、自社の保管・搬送システムと最新の工作機械を組み合わせ、自動化率を大幅に向上した

丁寧な説明を重ね共通理解を築く

それまでのダイフクのモノづくりは、長年使い慣れた設備、そして経験とノウハウを生かし、高い品質と一定の生産性を実現してきました。しかし、将来を見据えると、設備だけでなく、業務フローや生産体制を含めた抜本的な見直しが不可欠でした。この改革を進めるには、チーム間で認識をすり合わせ、連携を強化していくことが前提となります。そこで、上嶋らは自分たちが持つ課題認識や目指す方向性について丁寧な説明を重ね、共通理解を築いていきました。

「ダイフクのモノづくりの現状やビジョン、最新の技術を正しく共有するため、生産技術や設計、製造のメンバーにも参加してもらい、勉強会を毎日開催しました。それまで部署の垣根を越えて一つの部屋に集まる機会はなかったのですが、勉強会を通してそれぞれの立場から率直な意見を交わせました。結果、関係者全員が同じ知識を基に、同じ視点で議論できるようになったのです」(上嶋)

最初は受け身で参加していた勉強会でも、学び始めると新たな疑問が生まれ、興味や関心が広がります。誰かの前向きな姿勢が他の参加者にも波及し、お互いに学び合う循環が回り始めます。

現場の気付きを設計に生かす

川合 雄斗

ダイフクのモノづくり改革の特徴は、生産ラインだけでなく、設計から見直している点にあります。その一環として川合が担当したのは、板金部品の内製化と自動化に向けた新しい設備の導入でした。

「それまで板金部品は社外から調達していたので、設計はもちろん、鉄板を切ったり曲げたりする加工の経験もありませんでした。右も左も分からない状態ならではの苦労はありましたが、設計から加工までを自分たちで手掛けることで、初めて分かることが多くありました」(川合)

現場で得た気付きは、設計部門へ日々フィードバックされています。こうした積み重ねは、設計者がより俯瞰的な視点からモノづくりをとらえ、上流工程からコストや生産性を意識した設計を行う土台となり、将来的には一層の生産性向上につながります。

金属板の加工・保管・次工程への搬送の一連の作業を自動化するシステム

一層の生産性向上を目指して

改革が進むにつれて、各自の役割も少しずつ変化しています。川合は設備導入が一段落した後、生産システム構築の担当になりました。

「以前は日々の生産計画を手作業で作成していましたが、設計手法が2Dから3Dに移行し、3Dデータには加工の情報もひも付くようになりました。その情報を活用し、各工程でどの程度の生産が可能なのかをデータベース化しました。現在は、オーダー内容に基づいて『どの週に何をどのくらい作るか』といった生産計画をほぼ自動で策定できるようになっています」(川合)

納谷 誠

若手の納谷誠は入社早々にモノづくり改革を推進する部署に配属され、機械加工のプログラミングに携わっています。

「現在のCAMソフトは、3Dデータを読み込むと加工プログラムを自動で生成します。しかし、『先にどちらを削るべきか』といった経験に基づく微妙な判断は、人が行う必要があります。こうした技術的なノウハウを周囲に質問しながら、知識を吸収するよう心掛けています。自動化が進んだとはいえ、人の手が欠かせない工程も残ります。より高いレベルのモノづくりに貢献できる自動化の仕組みを構築したいと考えています」(納谷)

  • CAM:工作機械での加工に必要なプログラムなどを作成するツール

上嶋にも多くの学びがありました。以前は部品を完成品として見ていましたが、モノづくり改革を推進する中で視野が広がり、各部品がどういった意図で設計され、加工されるのか、多数のプロセスを経て作られる点に改めて気付かされました。

「すべての加工プロセスにコストダウンの可能性があります。これからは、製造ならではの視点を生かして『設計をこう変えればコストが下がる』といった提案をしていきたいです」(上嶋)

ダイフクは今後も生産性向上への取り組みを加速させていきます。川合は「以前と比べて自動化が進んではいますが、まだやるべきことはあります。『さすが自動化のダイフク』と言われる工場にしていきたい」と話します。納谷も「さらなる自動化で現場の負担を軽減しながら、よりレベルの高いモノづくりを実現したい」と先を見据えます。

モノづくり改革によって自動化やデジタル化が進んでいますが、効果はフィジカルな変化だけではありません。上嶋、川合、納谷を含め、改革に関わった社員たちの意識が変わり、部署間の連携体制も強化されました。モノづくり改革は、同時に「人づくり改革」でもあるのです。

株式会社ダイフク
イントラロジスティクス事業部 生産本部 製造部

工作・機器グループ 工作課 課長 上嶋 真二
工作グループ 工作計画課 川合 雄斗
工作グループ 工作計画課 納谷 誠

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