Online Daifuku Report 2018

CFOメッセージ

代表取締役副社長 管理統轄 猪原 幹夫

積極投資で、追い風の事業環境を
業績に結び付ける

ダイフクは、財務の健全性および資産・資本効率の向上を意識した経営を行っています。ROEについては、売上高当期純利益率、総資産回転率の改善を基本に、その上昇に努めています。

財務戦略の基本的な考え方

資産と負債のバランスという点から、常にD/EレシオやROAに配慮しています。これは、プラント受注型のメーカーとして、運転資金や設備投資といった資金需要が旺盛であることに起因します。さらに、ダイフクグループは世界各地に子会社を53社展開していますが、ダイフク単体、子会社それぞれで、商習慣や国情、顧客ごとの支払条件なども異なっており、グローバルでのキャッシュフロー・マネジメントも財務戦略上重要です。

D/Eレシオ0.5以下とするなどの財務規律を保ちつつ、将来の成長に向けた布石も機動的に打っていかねばなりません。強固な連結財務基盤はROEやROAといった経営効率の改善を促進し、企業価値の向上につながります。

親会社株主に帰属する当期純利益・
自己資本利益率(ROE)
2012年度〜2017年度推移グラフ

2017年度に行った公募増資

今回の公募増資では、生産能力増強と財務体質強化を図りました。特に米国グループ会社Wynright Corporation(以下、Wynright社)の工場内製化率を引き上げることを重視しています(図1:調達資金の使途)。Wynright社は、高成長が期待できるeコマース企業を主なターゲットとしており、幅広い機種のダイフク製品を現地生産することで、グループ全体の収益力を向上させます。

現在、社債格付はシングルAフラットですが、さらにステップアップを視野に入れています。公募増資は、純資産を拡大するという意図もありました。

図1:調達資金の使途
223億円:大阪本社 新事務棟建設・設備投資23%、滋賀事業所他 製造設備投資45%、Daifuku North America Holding Company 工場建設・製造設備投資29%、その他 借入金返済3%

人材投資も重要

ソフトウエア部門強化のため、人材を集めやすい大阪本社にソフトウエア開発拠点を設けることにしました。快適に働ける環境を整えることで、優秀な人材を集めることも重要な投資です。働き方改革の面では、RPA(Robotic Process Automation: ロボットによる業務自動化)を導入し、オフィスの生産性向上を図ります。

ROEの向上と今後の資金使途

ダイフクでは、毎月の取締役会で、ネット営業資産などについて論議を行っており、これが営業利益率、総資産回転率の向上、継続的なROEの改善に奏功していると思います(表1:ROE向上要因)。必要によりセンサー類、AIなど、技術的な補完性を得るためのM&Aや開発には、一時的に借入を増やし、資金を投じたいと考えています。

プラントメーカーとして、営業利益率10%はかなり高い水準です。さらに上を目指そうとすれば、事業のポートフォリオを変えていく必要があります。このため、デバイス事業の開拓にも力を入れていきます。

表1:ROE向上要因
2014年度〜2017年度推移

CFOとしての抱負

株主還元策は、企業価値向上のためのインカムゲインとキャピタルゲインのハイブリッドが基本です(図2:1株当たり配当金・配当性向)。当社は、連結配当性向30%をベンチマークにした配当政策による増配のほか、投資機会の提供などの株主還元策により、株主さまの期待に応えてきました。株主還元の充実、資本効率の改善の両面が伴った結果、株主資本に対する配当金の比率(DOE)も向上しています。増資によって投資家に投資機会を提供するとともに、希薄化率を上回る収益性向上を実現し、株価上昇につなげています。

企業価値向上のためには、コーポレート・ガバナンスとコンプライアンスの強化も重要です。株主さま・投資家の皆さまだけでなく、さまざまなステークホルダーとのエンゲージメントも強化していきます。さらに、納税義務の点では移転価格税制へも対応するなど、企業の社会的責任を果たしていきます。

2018年1月に当社株価が8,000円を超え、一時的にですが時価総額1兆円となり、企業としてのステージがこれまでとは全く違ってきたという認識です。今後も、ガバナンスとコンプライアンスを強化し、企業価値向上を図ります。

図2:1株当たり配当金・配当性向
2012年度〜2017年度推移グラフ

CFOメッセージ
(PDF: 1 MB)