担当役員メッセージ

取締役常務執行役員 田久保 秀明

ステークホルダーの皆さまに
選ばれ続ける企業を目指し、
持続可能な社会の実現に向けて挑戦を続けます。

さらに高まる社会からの要請

世界各地で甚大化する自然災害、ロシアによるウクライナ侵攻に起因する資源・エネルギー価格の高騰、サプライチェーンの分断など、さまざまな問題が顕在化し深刻さを増しています。さらに、AI・IoT・5G等の技術によるさまざまなデジタルイノベーションが非常に速いスピードで進んでおり、世界の産業構造や私たち個人の生活にまで、絶え間なく変化をもたらしています。このように不確実性が高まる事業環境においては、長期的な視点を持って、持続可能な社会の実現に向けて努力を積み重ねることがより一層重要になります。企業には利益の追求だけでなく、ESG(環境・社会・ガバナンス)やSDGs(持続可能な開発目標)などに対して取り組むことが強く求められ、その要請に応えられなければ淘汰されていく時代であると感じています。

ダイフクグループは事業を通じて持続可能な社会の実現に貢献するため、18のマテリアリティ(重要課題)を特定し、その解決に向けた3カ年の行動計画「サステナビリティアクションプラン」(以下、アクションプラン)を実行しています。アクションプランは2021年4月よりスタートした中期経営計画とともに経営戦略の両輪と位置付けており、計画の最終年度に入りました。掲げた目標に対する進捗は概ね順調と評価していますが、企業の取り組みに対する社会からの期待は近年さらに高まっているため、現状に満足することなく歩みを進めていきます。

「ダイフク環境ビジョン2050」の改定

2023年5月、当社グループは2021年に公表した「ダイフク環境ビジョン2050」を改定しました。昨今、カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みはグローバルでさらに加速しているほか、経済活動が生物多様性・自然資本に及ぼす影響、また、それに伴う企業価値の毀損リスクも指摘されています。こうした社会の要請の変化を踏まえ、より高い水準で具体的に行動していくため、重点領域の拡充と2030年の環境目標の引き上げを図りました。本ビジョンでは2050年に「マテリアルハンドリングシステムが環境負荷ゼロで動く世界を実現します。」と掲げ、重点領域を「気候変動への対応」「資源循環の促進」「自然との共生」としています。今回の改定では、CO2排出量削減目標をパリ協定が求める1.5℃目標の水準としたほか、水資源や生物多様性保全についても新たに目標を設定しました。

現在、当社グループは国内外の各拠点で再生可能エネルギーの導入や省エネルギーの取り組みに注力しており、自社のCO2排出量(スコープ1+2)については、ある程度計画に沿って削減することが可能と見ています。一方、当社グループのCO2排出量の内訳は、調達活動や当社製品の稼働に伴う排出量(スコープ3)が多くの割合を占めます。従って、私たちがサプライチェーン全体で目指す姿を実現するためには、お客さまやサプライヤーの皆さまとのさらなる連携が欠かせません。

CO2排出量に限らず、サプライチェーンの環境負荷の実態把握や、環境負荷をゼロに近づけていくための具体的なロードマップの策定は今後の大きな課題であると認識しています。また、何より大切なのは、当社グループの役員および従業員一人ひとりが地球環境への意識を高め、日々の業務や日常生活において環境負荷の低減を実践することです。そのため、グループ全体に向けた啓発活動についてもさらなる充実を図っていきたいと思います。

  • 2023年11月、「ダイフク環境ビジョン2050」で設定したCO2排出量削減目標が、パリ協定に準じた科学的根拠に基づく目標と認められ、SBT(Science Based Targets)イニシアティブより認定を取得しました。

ダイフク環境ビジョン2050

人的資本の強化に向けた取り組み

これまで当社グループは、事業部門制のもと、それぞれの事業特性を考慮した部門最適の仕組みや人事の運用を行って成長を続けてきました。しかし、今後も中長期的な成長を果たすためには、より全社的な視点で経営戦略と強く紐づく人材戦略を策定し、実行していくことが肝要です。現在、次期中期経営計画の策定を進めていますが、CTO(Chief Technology Officer)やCPO(Chief Production Officer)とも連携を深めながら、人的資本の強化に向けた議論・検討をしていきます。将来を見据え、先端技術やデータサイエンス分野などに秀でた人材を確保・育成していくことは特に重要であると考えています。

2022年度はグループ全体の人材マネジメント基盤を構築するため、従業員に求めるコンピテンシー(行動特性・姿勢)を定義するとともに、当社グループにおけるキーポジション(主要幹部職)を特定しました。2023年度にはキーポジションに対する後継候補者の充足度や育成状況、登用などを管理する「人材委員会」を新設し、運用を開始しています。

また、当社グループは「働きがい」と「働きやすさ」の2つの側面から従業員エンゲージメントサーベイを実施しています。2021年度に実施した国内拠点の結果では、「お客さま志向」や「経営層への信頼」といった強みの部分が見られた一方、「組織間の連携」「従業員一人ひとりのキャリア形成支援」が課題として認識されました。課題に対しては、部門の垣根を超えて人材の流動性を高める制度の新設や人事処遇制度の見直し等により改善に努めています。海外拠点については、同様のサーベイを2023年6月に実施しました。2023年度中に結果を分析し、必要に応じて適切な対策を講じていきます。

サステナビリティ推進体制の構築

当社グループは国連グローバル・コンパクトの「人権」「労働」「環境」「腐敗防止」の4分野10原則を支持し、国際社会の動向を踏まえたサステナビリティ推進体制を整備してきました。2020年度に「環境経営推進委員会」を「サステナビリティ委員会」に改称して以降、環境に加え、人権などその他の社会課題についても活発な議論を交わし、取り組みを加速しています。また、2022年度には「リスクマネジメント委員会」を発足し、経営目標の達成に影響を与えうる重要なリスクの管理体制を強化しました。これらによって全社的な視点でサステナビリティに取り組む体制は一定程度整備できたと評価していますが、今後は両委員会の機能をさらに高め、重要課題に対するPDCAサイクルを確立していく必要があります。多岐に渡るサステナビリティ課題をサプライチェーン全体で解決していくため、グループガバナンスの強化にも注力し、長期的な企業価値の向上を実現したいと考えます。

ステークホルダーの皆さまへ

当社グループは、世の中になくてはならない社会インフラを担う企業です。私たちには、人々が心豊かに生きられる、より良い社会を創造する使命があると感じています。社会から信頼され、必要とされる企業であり続けるため、すでに掲げた目標の達成はもちろんのこと、中長期的な視点で継続的に体制や取り組みを改善・強化していく考えです。今後もステークホルダーの皆さまと対話を重ね、持続可能な社会の実現に向けて挑戦を続けていきます。

2023年8月

取締役 常務執行役員
CHRO(Chief Human Resource Officer)
コーポレート部門長
田久保 秀明

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