PROJECT
プロジェクトから知る職種間連携
オートモーティブ

日本の基幹産業を支えるべく、 最適なマテハンシステムを実現する、 職種間連携の真髄とは 日本の基幹産業を支えるべく、 最適なマテハンシステムを 実現する、職種間連携の 真髄とは

国内外のさまざまなメーカーを相手に自動車生産ライン向けシステムを数多く構築・提供してきたダイフクのオートモーティブ事業部。プロジェクトの現場ではどんな職種間連携があったのか?その現場のリアルを、フィールドエンジニア(工事)、設計(機械)、設計(電気)を担う三人の社員に語り合ってもらった。

オートモーティブ事業部
フィールドエンジニア(工事)

T.O 2014年入社

入社以来一貫して、自動車生産ライン向けシステムの工事サービスを担当。営業、エンジニアリング、設計、製造からのバトンを受け、お客さまの工場に確実に大規模な設備を据え付けることがやりがいという。

オートモーティブ事業部
設計(機械)

S.M 2015年入社

入社以来一貫して、自動車生産ライン向けシステムの機械設計を担当。どこにも「これが正解」という答えがないなか、職種間連携により相談しながら一つのものを完成させていくことに喜びを感じているという。

オートモーティブ事業部
設計(電気)

Y.N 2016年入社

入社以来一貫して、自動車生産ライン向けシステムの制御設計を担当。プロジェクトを通して、お客さまが要望する機能を形にできた時、最も大きな達成感を覚えるという。

難易度の高いプロジェクトの成功は
いかに成し遂げられるのか?

Y.N

これまでで最も印象に残っているのは、入社2年目の時に先輩と一緒に設計を担当した、大手自動車メーカーのお客さまの生産ラインの再構築プロジェクトです。その目的は、既存設備の老朽化に加え、タクトアップ(1台の車が生産工程のなかで流れるスピードの向上)、車両重量アップに伴う大幅なリニューアル。難しかったのは、工事のボリュームが非常に多く、かつ改造の範囲も非常に広かったことでした。まだ経験が浅かった私としては、当初は本当に期日通りに完遂できるのかと不安に感じたほどです。

T.O

そんななか、どうプロジェクトを進めていったのですか?

Y.N

注力したのは、社内の各職種とのより密な連携です。例えば、工事の方と一緒にお客さまの工場に出向き現場調査を行ったのもその一例です。「こうしていけば工事のボリュームを減らせるのではないか」などと、お互いに意見出しを行いながら進めていくことができました。そのなかで、自分たち設計の想像だけで進めていくと、実際の現場との齟齬が生まれることがあることを認識できたことは、いまも設計を進めるうえでの自分の指針になっています。

S.M

現場調査は本当に重要ですよね。入社以来、新設工事の設計を主に担当していた私が初めて改造プロジェクトの設計を担当した時にそれを実感しました。農機・建機メーカーのお客さまの既存ラインへの新規作業エリア増設改造プロジェクトだったのですが、そこで立ちはだかった壁は、限られたスペースのなかでいかに増設改造を実現するか。設計する際の計算の難易度も高かったのですが、それに加えて、短期間で工事を完了できるよう進めることにも知恵を絞る必要がありました。そのために実行したのが、工事の方との連携による現場調査です。

T.O

具体的にはどんな調査を?

S.M

どこまでのサイズなら運搬、搬入、据付まで行えるかを確認・調査し、それに合わせてサイズを小さくしたり分割できるよう設計し直したり、できる限り当社の製造で組み上がったものを搬入できるような設計を考えたり……。しっかり現場を見てチェックし、想定し得る問題点をつぶしたおかげで、お客さまの満足いく形でプロジェクトを完了することができました。

T.O

私が忘れもしないのは、入社2年目で大手自動車メーカーのお客さまのアメリカ工場での新車種対応プロジェクトの工事を担当し、大失敗をした時のことです。それは、新車種製造向けに既設ラインの延長の工事を終え、機械設計と制御設計の先輩二人とともに試運転をしていた際に起こりました。試運転がなかなかうまくいかず緊張感が続いていたなかで、私が設備の肝となる部品の一つを壊してしまったのです。しかし、先輩たちがその場で冷静に対応してくれたことで、事なきを得ました。この時、ダイフクが手掛けるプロジェクトのクオリティは職種間の緻密な連携によって実現されるのだと、改めて実感したことを覚えています。
スピーディな職種間連携こそが、
お客さまが求める価値の創造につながっていく

T.O

私が設計と連携する際、気をつけているのは、図面が上がってきた時に、工事として「こうしてほしい」という意見を必ず伝えること。例えば、「この図面だとお客さまの既存ラインのこの部分と干渉してしまうから、ここはもう少し短くする必要がある」などと、設計よりも現場の現実を熟知するフィールドエンジニアとしての具体的な要望を出すことで、プロジェクトはよりスムーズに進みます。

S.M

設計としても工事を見据えたうえで気をつけて設計していますが、それでもいざ現場に据え付ける際、うまくいかないことも。そういう時も工事の方から詳しい状況をすぐにキャッチアップし、連携をとる体制ができています。この連携のスピード感はダイフクならではだと思います。

T.O

職種間連携は、競合に競り勝つ原動力にもなります。例えば、ある競合コンペで「既存ラインに影響を与えず、かつ低予算で、狭いスペースにある設備を設置したい」とのお客さまの要望を聞いた時のこと。すかさず設計に類似事例がないか問い合わせると、すぐに過去の事例を教えてくれて。その後、営業と連携して見積もりを作成し、ほとんど時間を置かずにお客さまに提案したことで受注に至りました。自動車生産ライン向けシステムを長年手掛けてきたダイフクにはさまざまな類似案件があるため、あらゆる要望や課題に対して、職種を超えた連携によって「即回答」できる。そこにお客さまが価値を見出してくれているのは間違いありません。

Y.N

よくあるのは、「お客さまがこういう改造をしたいということなのだけど、できます?」という営業や工事の方からの問い合わせ。そんな時、「ソフトをこう変えたら、実現できますよ」と回答できるケースは多々あります。また、お客さまの工場の現場に自分がいて、そこでトラブルが発生した際は、できるだけその場でソフトを直すことで解決に導くようにしています。

S.M

本来なら時間がかかるところを、当社ならすぐに回答を出すことができる。そうやってお客さまからの信頼を積み重ねていくことが、新たな受注につながることもありますね。

Y.N

そういえば、国や地域を超えた連携で印象に残っていることがあります。現地法人を通じて、カナダのお客さまに対して、現地での据付前に、当社の滋賀事業所での社内試運転の様子をオンラインで中継して、リアルタイムで映像をお見せしたのです。そのなかで、お客さまの質問に答え、「こういった方法ではどうか」というやりとりを英語で行いました。ダイフクのグローバル展開のさらなる拡大に伴い、こうしたスピーディな対応もますます求められるだろうなと思います。
トータルソリューションの強みを生かして、
大変革期を迎える自動車産業を支える存在に

S.M

これまで言ってきたことの繰り返しになりますが、ダイフクの強みであり、お客さまから期待されているのは、通常は対応できないようなプロジェクトを任せられる技術力の高さと柔軟性です。

Y.N

付け加えると、お客さまが納得する形で納入・稼働できるようになるまで、営業、エンジニアリング、設計、製造、工事まですべての職種が、次から次へと発生する課題に向けて連携して案を出しあってプロジェクトを完遂していく。そんな一貫したサポート体制でソリューションを提供できるのが、当社ならではの強みです。

S.M

確かに。自分一人でやれることには限りがありますが、他部署と連携することにより、トータルとして大きな力を発揮できるからこそ、当社にしかできないソリューション提供は多いと思います。

T.O

工事の強みでいえば、お客さまのいるエリアに必ずサービス拠点があることが挙げられます。お客さまからの問い合わせがあった際、すぐにお客さまの工場に駆けつけて、困りごとの相談に乗ったり、今後の設備投資の計画を聞いたり……。そんななかで新たな提案が必要になった場合、設計や製造につなぐとすぐ対応してくれて、お客さまに即時でレスポンスできるのがアドバンテージになっています。

Y.N

プロジェクト完遂後も、工事の方々がお客さまに工場の稼働状況に関する意見を聞いていて、それがまた次の新たなプロジェクトにつながることもありますね。

T.O

新たなプロジェクトといえば、今後自分が手掛けたいのは、海外の案件。世界中にサービス拠点を展開しているので、海外でもいろんな国のさまざまな職種の方と連携して工事を実施したいなと思っています。

S.M

私はお客さまが抱える課題に対し、想定以上の方法で応えられるよう技術力を磨いていきたいです。

Y.N

自動車産業というと、特に日本においては経済を支える基幹産業の一つでもあります。その生産ライン向けシステムを手掛けているということは、ある意味、我々は日本経済の陰の立役者とも言えるかもしれません。

S.M

それは、私たちが提供するシステムの良し悪しによって、お客さまの生産はもちろん、日本経済にも大きく影響するということでもあるので責任は大きいですよね。

Y.N

その通り。その責任を胸に、今後もいろんなプロジェクトに取り組んでいきたいです。

T.O

カーボンニュートラル、CASE(Connected、Autonomous、Shared & Service、Electric)など、大転換期を迎えている自動車産業はこれから大きく変わっていきます。そんななか、ダイフクがその変革を支える頼もしい存在になれればと思います。