老朽設備を元気にパワーアップするリニューアル

当社が自動倉庫の1号機を納入してからすでに39年。この間に納入した設備は大小合わせて1万5,000件以上に達します。当初の目的を達成し撤去された設備もありますが、大半は今も“元気”に稼働しお客さまの物流合理化に貢献しています。しかし中には、長期間の使用による老朽化や、稼働当初に設定していた物流条件の変化などにより、必要とされる能力・機能を十分に発揮していない設備もあります。リニューアル工事はこうした設備を蘇らせ、より長く、快適にお使いいただくための有効な手段のひとつです。

1994年、当社はサービス事業のメニューに“リニューアル”を加え、専任部隊による営業活動を開始しました。現在では数多くの実績を持ち、リニューアルに対するお客さまの認識も高まってきました。各種物流設備に対応したリニューアル方法についてご紹介します。

1. 良い品を大事に長く使う

環境問題を背景に、家電製品や自動車など大型耐久消費材に対する消費者意識は、使い捨てから良い品を大事に長く使う方向へと変化してきました。自動倉庫などマテハン設備についても、同様の考え方が広がってきています。

リニューアルは、老朽化したマテハン設備を蘇らせ、長く、しかも快適にお使いいただくための効果的な、場合によっては唯一の手段です。設備を長期間使用していれば当然、部品の消耗などによりトラブル発生率も増加します。また、対応できる技術者が少なくなり、復旧に時間を要するケースもあります。さらに、修理に必要な部品の入手が困難だったり、入手が可能でも再製作のための納期・費用が相当かかるなど、完全に元の状態まで復旧するのが難しい場合がほとんどです。

こうした事情もあって、今ようやく設備の延命・蘇生を使命とするリニューアルは、設備のライフサイクルの中で保守点検と同様に重要な要素と考えていただけるようになりました。また、適切な時期にリニューアルを実施することが、最もランニングコストを抑制することにつながるという理解も、ここにきて定着してきたように思われます。以下、リニューアルのタイミング、方法、コスト、工事について具体的にご紹介します。

2. ポイントは実施のタイミング

バブル景気以前から、経営合理化のための投資は生産設備から物流設備へと広げられてきました。バブル後は一転、設備投資の抑制・見直しの目が物流設備へも強く注がれ、マテハンメーカーは厳しい対応を迫られています。当然、設備のランニングコストは“1円でも安く”ということが求められます。稼働中の設備に対しては、剣道の極意で太刀先を見切るようにギリギリまで使用してからリニューアルするのが最も無駄のない更新方法です。ただ、老朽化によるトラブルで設備をダウンさせては何もならず、リニューアルのタイミングは重要なポイントになってきます。

物流設備は大きく分けて、管理コンピュータ、制御、機械の3要素で構成されます。3要素を同時期に全面更新するリニューアルは理想的ではありますが更新費用が大きく、また停止期間も長引く可能性があり、常に最良の方式とは言えません。コンピュータ、制御、機械それぞれの保守期間が異なることから、各々最適なタイミングでリニューアルして行くことも可能です。

●管理コンピュータ(6~7年)

ハードメーカーのサービス保守対応は該当機種の生産中止後、6~7年で自動的に終息します。また、OSのサポート対応終了時期も重要なタイミングとなります。

●制御(最長12年)

制御関係の使用部品、特に最近の制御モジュールなどは技術革新に追従して数年で生産中止となり、修理・交換も難しくなります。一般的には、設備の償却年数をもとに最長12年と設定されています。当社では社内製作する制御モジュールについては、量産終了後7年のサービス期間(受注生産可能)、さらに5年の修理対応期間を合計した12年を保守可能期間と考えています。

●機械(最長25年)

一般的には、日常のメンテナンス・保守を定期的に実施していれば25年以上の稼働も可能です。当社では25年を設備寿命の目安と考えています。ただ、機械関係の使用部品も生産中止になることがあり、そうした場合には修理・交換などは難しくなります。

図3: 基板モジュールの保守可能期間

図3: 基板モジュールの保守可能期間

長期にわたり安定稼働を維持していくためには、設備のライフサイクルに合わせて、保守点検とリニューアルをうまく同期させることが必要です。当社では、予算・工期などの条件に合わせ、お客さまごとに最適なリニューアルプランを作成しご提供しています。

3. 主なメニューとその方法

設備のリニューアルは、基本的には当社の最新機種に更新していただくことが、コスト・品質・アフターサービス面からもベストと言えます。また、コンピュータだけ、制御システムだけといったユニットレベルでのリニューアルの場合も、最新機種への更新をおすすめします。いずれの方法においても、当社生産部門と連携した最適の提案を行っています。

自動倉庫システムを例に、管理コンピュータ、地上制御、スタッカークレーン、荷捌き設備に分けて具体的なリニューアルメニューをご紹介します。

在庫管理コンピュータ

急速な技術進歩により、OSのモデルチェンジ、データベース化、通信のネットワーク化などが進展し、従来使用していたソフト・機器が流用できない場合が多くなってきました。当社の在庫管理コンピュータ「AWC」シリーズは、在庫管理に必要な機能の大半を標準モジュールとして備えた、高コストパフォーマンス・高品質の最新パッケージシステムです。従来の機種とは操作や運用が多少異なりますが、同機種にリニューアル更新することでシステムの大幅な高度化を図ることが可能です。さらに次回のパソコンリニューアルにも容易に対応することができます。

地上制御

地上制御は、オフラインシステムではオペレーティング&モニタリング機能を備えており設備制御の中枢です。オンラインシステムではコンピュータと設備のインターフェイスの役割も担います。最新機種「AGC」は、オペレーティング&モニタリング機能を大幅に向上しました。しかも、当社システムサポートセンターに直結するリモートモニタリングも可能になっているため24時間稼働の設備にも対応でき、万一の障害によるシステムダウンを最小限の時間にとどめることができます。また、更新時の立ち上がりを素早くするためのテスト機能も内蔵しています。

スタッカークレーン制御

稼働12年未満のスタッカークレーンは機械部分だけを流用し、ケーブルを含む制御関係はすべて最新の「AS21」シリーズに更新します。また各モータ・ドライブユニットは必要に応じて更新します。これにより、従来の速度制御機能に学習制御方式とS字加減速カーブ機能が付加されるため、走行・昇降制御、停止精度も改善でき安定稼働が図れます。ただし、機械を流用するため能力アップは望めません。能力アップを希望される場合には、スタッカークレーンの全面更新をしていただくことになります。
また、汎用PLCでスタッカークレーンの制御を更新する場合、対象設備は納入後12年以上の自動倉庫システムになります。土・日の工事で対応が可能で、制御更新に併せて機械系の部品交換や検出器交換も同時に実施すれば、より大きなリニューアルの効果が期待できます。

学習制御方式:据え付け時に学習運転することにより減速・停止ポイントを自動的に計測・計算して微調整する制御方式。停止精度がアップする。

S字加減速カーブ機能:加減速時の速度カーブをS字にして加減速度変化を緩やかにする機能。荷崩れなどが発生しにくくなる。

  • *OS(Operating System):
    コンピュータの基本ソフト
  • *AS21:
    当社自動倉庫システム(AS/RS)の最新モデルの名称
  • *AWC(Automated Warehouse Controller):
    倉庫全体の総括コントロール(在庫管理・入出庫管理)を行う
  • *AGC(AS/RS Group Controller):
    AWCからの搬送指示を各設備に指示し、搬送作業の流れを効率よく行うためのコントローラ
  • *PLC(Programmable Logic Controller):
    シーケンサと呼ぶこともある

荷捌き設備

荷捌き設備は、作業者と自動倉庫の機械的インターフェイスとなる部分で、主にコンベヤ系で構成されます。コンベヤは検出器を含め制御コントローラを中心に更新します。ビークル系の無人搬送車(AGV)などは、現地での部分更新では十分な効果が期待できないためAGV本体のオーバーホール、または最新機種へのリニューアルをおすすめします。オーバーホールは当社総合サービスセンターで1台ずつ実施します。期間中は代替機を投入して、お客さま側のシステム稼働に支障がないよう配慮しています。

ミニ・リニューアル

デジタルピックシステムの表示器をはじめ、インバータ式駆動ユニット、バーコードリーダなどモジュール部品のリニューアルも可能です。標準化・パッケージ化したこれらのユニットは設計レスで容易に交換できます。また移動ラックや、回転ラックなどのシステム機器商品では、機械、制御を機能ごとに分割して更新できるようにしています。

  • ミニ・リニューアル対象機種の一例
  • ミニ・リニューアル対象機種の一例

ミニ・リニューアル対象機種の一例
「移動ラック(写真左)」「バーチカルカルーセル(写真右)」のリニューアルメニューには、
給電ケーブル・機内配線など制御系の更新のほか、バンパ・各種検出器交換など安全対策のための更新も用意している。

荷捌き設備

荷捌き設備は、作業者と自動倉庫の機械的インターフェイスとなる部分で、主にコンベヤ系で構成されます。コンベヤは検出器を含め制御コントローラを中心に更新します。ビークル系の無人搬送車(AGV)などは、現地での部分更新では十分な効果が期待できないためAGV本体のオーバーホール、または最新機種へのリニューアルをおすすめします。オーバーホールは当社総合サービスセンターで1台ずつ実施します。期間中は代替機を投入して、お客さま側のシステム稼働に支障がないよう配慮しています。

ミニ・リニューアル

デジタルピックシステムの表示器をはじめ、インバータ式駆動ユニット、バーコードリーダなどモジュール部品のリニューアルも可能です。標準化・パッケージ化したこれらのユニットは設計レスで容易に交換できます。また移動ラックや、回転ラックなどのシステム機器商品では、機械、制御を機能ごとに分割して更新できるようにしています。

4. システム内容で異なるコスト

お客さまのシステムごとにリニューアル内容が異なるため断言できませんが、ごく一般的な目安として申し上げると次のようになります。

管理コンピュータ

前述のごとく、既納システムのソフト流用ができないことが多く新規開発となります。ポイントは、操作や運用を見直し、当社の標準およびオプション品をどれだけ取り入れていただけるかということ。固有の特別仕様を減らせばコスト低減が可能となります。

制御システム

制御システム一括更新の場合、納入時設備費用の2分の1を目安としています。また、延命を目的とした分割更新の場合は、納入設備費用の3分の1~4分の1を目安としています。どちらもタイミング(時期)を失しては効果は少なく、トータルコストも割高になります。

機械設備全体

機械を含めた全面リニューアルでは、自動倉庫設備のラックなどで流用可能なものを除けば、新規導入時と差異はありません。

5. 更新工事は土・日、連休が基本

設備更新工事にあたっては、操業に支障を来さない時期・日程で施工を計画します。例えば、休業日となる土・日2日間を利用して何回かに分割し段階的に施工するか、あるいは連休期間(春・夏・冬)を活用して一括施工を実施します。いずれの場合も稼働中の設備であるため、事前の計画を十分に行います。

制御更新では、新・旧制御パネルを並べ、ケーブルをコネクタなどで切り替えて、昼間稼働←→夜間調整、または平日稼働←→休日調整を繰り返しシステムの完成度を段階的に上げていきます。土・日工事、連休工事で最終段階を完了し、万全な仕上げで全面稼働を果たします。

短工期や搬入経路がない場合は、大型クレーンを使用し外部で仮り組みした製品を建屋の天井に開口を設け、そのまま上から搬入することもあります。年中無休24時間稼働のお客さまについては、何年かに一度の設備定期補修の機会に対応させていただきます。

なお、いずれの場合も、お客さまのご協力なくしてスムーズに新しいシステムへ移行することはできません。

6. DTS事業部の取り組み

当事業部には、リニューアル専任の営業およびEG(技術)部隊を設けています。新たに設備を計画する場合と異なり、営業もEGも業務範囲が限定されますが、その分リニューアルに特化した活動が可能です。また、国内約60店舗のサービス網と緊密に連携しており、専門的なご相談にもきめ細かく対応することできます。

変化の激しい時代、設備寿命が尽きるまで納入当初のままの運用・レイアウトで済むということはあり得ません。例えば、PL法施行前にお納めしたシステムでは、現在から見ると安全対策が十分でないものも中にはありました。そのような場合、設備の安全強化や、最近ではお客さまの関心が高い製品の落下防止や感震計による設備自動停止システムの組み込みなど、地震対策の提案も行っています。

現在、お客さまのリニューアルのご要望は自動倉庫系システムが中心となっています。しかし、仕分け・ピッキングシステムなどのマテハン機器もリニューアル適齢期を迎えているものもあり、今後これらの案件が増えていく見込みです。当事業部ではこれからもさらにリニューアルメニューを充実させ、お客さまの要望にこたえる提案、サービスを提供していく方針です。

  • *本文中の組織名は2004年3月時点のものになります。

< DAIFUKU NEWS No.171 (2004年3月)より >

リニューアル[製品情報サイト]