物流センターや配送センターは、人の生活空間である一般建築物とは異なり、物の入出庫・保管・仕分け・ピッキング・情報管理といった「物流(マテハン)」が主体となる建築物です。したがって、その建設に当っては、土地のロケーション決定・取得から内部レイアウト設計、施工・製作まで、マテハンを熟知した物流機器メーカーに相談いただければ、マテハンの機能をフルに活かした、より機能的な物流センターを構築することが可能になります。

1. 機能・人・イメージを考慮した設計が大切

1966年、当社は日本で最初のビル式自動倉庫[当社製品名:ラックビルシステム(RB)を納入しました。その準備のため1963年、社内に建築事務所を開設して以来、約40年間にわたり、冷凍品・危険物を含め多種多様な物流センター建築を手掛けて参りました。

物流建築が注目されるようになったのは、そこに求められる機能・目的が時代とともに変化し、高度化してきたからと言えます。

昔の物流建築といえば、自社製品を保管するための建物でしかありませんでした。しかし1980年代前半から、ピッキング・仕分けなどの機能を重視する流通型の設備に変わり、現在では多様化する顧客ニーズに対応するため、より高度なマテハンシステムを導入するところが多くなっています。

物流センターの計画・設計に当っては、その建設目的からして、マテハンを最優先に考えるのが当然です。そこでは建築を単に全体を囲うためだけの“上家”と見る「形態設計」ではなく、内部機能を最優先に分析してシステム構築を行ない、機械・制御・情報・建築などの専門分野が一体となって当初の建設目的を達成する「機能設計」を行うことが最も重要です。

しかし、実際にセンターを運用し作業するのは人であり、安全性や動線、居住性(照明、冷暖房など)には十分、配慮しなければなりません。

また、完成した物流センターには企業の広告塔としての役割を期待されることがあり、外観・内部とも、その企業が目標とするイメージを効果的に展開できることが大切です。

2. 物流センターが完成するまでの流れ

物流センターが完成するまでの過程には、マテハン側では、

  1. 現状の物流診断・調査
  2. 基本計画・構想・採算性
  3. 基本設計
  4. 実施設計
  5. 製作・据付工事
  6. 機能・仕様検査
  7. 完成

という流れがあり、これに対する形で建築工事のフロー(図1)があります。このマテハン・建築双方の計画段階から工事完成・竣工に至るまで、工程管理・品質管理・コスト管理を考えた総合マネージメントが必要となります。

図1: 物流センター建築工事フロー

図1: 物流センター建築工事フロー

調査・計画

法律関係調査(建築基準法・消防法・都市計画法など)、建築空間設計における物流空間(入荷・保管・仕分け・出荷)、付帯空間(事務所・厚生施設など)を施主の要望と合わせ、整理していく最も重要な業務。
この時期から実施設計開始の間に、行政との協議や、経済的で使いやすい空間設計を行います。

基本設計

調査・計画などの集大成が基本設計で、実施設計の基となります。この基本設計で各設備(建築・マテハン・付帯設備)それぞれが具体化され、設備仕様・費用の枠組みが決定されます。

実施設計・監理

基本設計に基づき、より詳細な仕様の詰めが行われるのが実施設計。この段階で作成される図書は、各種申請、施工会社の選定、マテハン設備との取合いなど、工事を行ううえで重要なものになります。また、監理とは本図書に基づいた工事および、マテハン設備との整合性を調整・監督することです。

工期・コスト

基本構想を決定するまでは慎重に時間をかけ検討します。実施の方向に踏み切った段階では、最短納期、最少コストの実現に向けて管理・監督を行っていきます。

基本計画実施例

機械メーカー物流センター
基本計画図書の作成だけを行った例。小規模で物流設備との建築取合いが少なく、施主が設計事務所または施工会社に直接発注することを前提に行いました。本件はやや規模が大きかったため、調査・提案・協議など実質15日(一般には3~5日)程度で作成した。

機械メーカー物流センター

機械メーカー物流センター

設計・監理実施例(1)物流業務を停止することなく建設した文具・雑貨卸業物流センター

構造 :鉄骨造 5階建て+ペントハウス

構造 :鉄骨造 5階建て+ペントハウス
述べ床面積 :約1万6,540平方メートル(5,000坪)
収容人員 :物流センター100人、営業部門など180人。合計280人

スクラップ&ビルドで物流センターをリニューアル

本件には次のような特徴があった。

  • 多層階センターで、多種・多様な物流設備があり、建築との取合いが多かった。
  • スクラップ&ビルドで超短工期が要求された。

具体的には次のように進められた。

  1. 既存倉庫半分解体
  2. 新設物流センター半分完成
  3. 移転
  4. 残りの既存倉庫解体
  5. 残りの物流センター建設

当初は基本設計だけの依頼を受け、調査・提案・協議・検討を重ね、約2カ月で基本設計を完成。その後、施主から全体の管理(工程管理・品質管理・コスト管理)、マテハン設備との調整を期待され、実施設計・監理までを当社で請負うことになった。

現状図および1期撤去工事

  1. 工事に支障がある既存物流センター倉庫・既存庇の撤去、養生。
  2. 既存物流センターは1期工事完了まで稼働継続のため、すべての設備について支障がないよう対応。
  3. その他

既存設計図の内容について、一部改造・改装しているため、現地確認を行う。

建築1期工事

  1. 建築1期工事(マテハン1期工事含む)完了時、既存物流センターおよび既存事務所から移転。
  2. 既存物流センターの営業事務室関係は、1期工事の2階の一部を仮事務室とするため、仮設の間仕切り・床(カーペット)・照明・空調・端末電源などを設けておく。
  3. CCR室(中2階)の1期工事完了スペースに、本設用のCPUを設置する。
  4. 以上より、既存物流センター稼働停止後、即建築1期工事で新物流センターを稼働する。

建築2期工事

  1. 建築2期工事(マテハン2期工事含む) 完了時、官庁検査(念書にて役所了解済)。
  2. 官庁検査終了後、1期工事の仮営業 事務室、CCR室のCPU、および他地域物流センター営業など移転(仮設の事務室撤去含む)。
  3. 15カ月の工期でリニューアル完了。本稼働。

設計・監理実施例(2)工場併設のエンジン部品製造業物流センター

構造 :鉄骨造 平屋建て述べ床面積 :約7,750平方メートル(2,340坪)

構造 :鉄骨造 平屋建て
述べ床面積 :約7,750平方メートル(2,340坪)

合理化計画にのっとった期限限定の新設工事

2工場集約による合理化計画で、併設される新物流センターへの移転日が決定済み。一部12月完成、全体は2月完成と工期が短く、1日たりとも工期遅延は許されなかった。

また、業者選定は施主の意向により、従来のゼネコン一括発注ではなく、建築・電気・機械設備それぞれについて競争入札を行うことでコストの妥当性を明確化した。施工も含めた一括責任を当社が請負った。

設計・監理実施例(3)自然環境・敷地形状を配慮した医療用アパレル物流センター

構造 :鉄骨造 2階建て 述べ床面積 :約3,340平方メートル(1,040坪)

構造 :鉄骨造 2階建て
述べ床面積 :約3,340平方メートル(1,040坪)

建屋・設備の評価を行い最適レイアウトを決定

基本計画を行うことにより、計画敷地が物流センター建設地として適しているか、冬季の風向きはどうか、さらにトラック動線はどうか--などの評価を行い、配置シミュレーションを実施した。最終評価は、建築設計の視点に加えて、マテハン設備のレイアウトも重要ポイントとして決定した。

< DAIFUKU NEWS No.163 (2002年3月)より >