梱包・出荷エリアでトラクタを降ろした後、生産ラインの先頭に向かうSmartCart。

1. 梱包・出荷エリアでトラクタを降ろした後、生産ラインの先頭に向かうSmartCart。

世界的農機具メーカーがAGV88台を導入。
3系統の生産ラインを1本化し、大幅効率アップを実現

芝刈り機を中心に農業・工業・林業分野で約300種類のトラクタを製造販売する世界のリーダー的企業John Deere社様。世界60カ国に4万人以上の従業員を擁し、年間214億8,900万ドル(約2兆2,000億円 2007年度)の売り上げを達成しています。
同社は、ローラーコンベヤや無人搬送車(AGV)、パワー&フリーコンベヤシステムなどのマテハンシステムの機種選定や導入において高度な知識を有しています。工場の生産合理化に向けてのシステム導入にあたっては、技術調査チームによる綿密な評価を実施し、最終的に選定したのが、Jervis B. Webb Company(以下、Webb社)の製品でした。2005年、Horicon工場(ウィスコンシン州)にWebb社のAGV「SmartCart」を導入。それまで機種ごとに3系統に分かれていた生産ラインを1系統に集約、混流生産を可能にすることによって生産効率の大幅アップに成功しました。

技術調査チームを編成し、磁気テープ式AGV導入を検討

長年にわたって主要のトラクタ式芝刈り機を製造してきたHoricon工場(建築面積:23エーカー(9万2,900m2))では、SmartCartを導入する前は約20年間にわたって誘導無線方式のAGV約50台を利用していました。通常よりも長期間にわたって使用し続けてきたこともあり、代替品の導入にあたっては、想像を上回るメンテナンスコストが必要になってしまうことが予測されました。このため、技術調査チームを発足させて、次期搬送システムの調査を始めることになりました。
同工場のコンベヤ評価を担当した技術調査チームは、工場内のあらゆる作業を人間工学的に分析し、労働力の有効活用を図ると同時に、コストや納期なども考慮して、さまざまなマテハンシステムのメリット・デメリットや信頼性などの徹底比較を行いました。すべての選択肢を慎重に検討した結果、Webb社の新しいSmartCartを次期設備として決定し、2005年6月に導入したものです。

同チームがSmartCartを選定した理由の1つに、床に貼った取りはがし可能な磁気テープに沿って台車が走行するAGVの柔軟性が挙げられます。同工場の生産ラインには、直角コーナーなどのユニークな構造が取り入れられており、パレット返却ラインやその他の課題にも同時に対応する必要がありました。これらを確実にクリアできる製品として、SmartCartは高く評価されました。
Horicon工場の製造エンジニアDave Werkheiser氏によると「磁気テープの柔軟性は、SmartCartのコースを決める際の最大のメリット。さらに磁気テープをはがして貼り直すだけで、短時間でレイアウトの変更もでき、生産ラインの更新が週末を利用して行えるようになりました」

リフトアップ機能と自動充電システムを備えた高度な自動搬送システム

同工場は現在、芝刈り機製造ラインのスタート地点(写真1)から最終工程(写真5)までの間に、88台のSmartCartを投入しています。

調査チームは人間工学的な見地から、作業者にとって作業性の良い組立ラインを求めました。作業にアクセスするためにトラクタのボディを回転させる構造を内蔵した初期のAGVの問題点を解消するため、SmartCartでは、すべての作業者が常に最適な高さで作業できるよう、トラクタのボディを上げ下げできる油圧リフト機能をカート側に付加(写真4)。これにより、作業性が大幅に改善され、組立作業のかなりの重労働部分が削減されました。
さらに同社では、SmartCartが長時間使用できることにも着目。すべての生産工程においてインライン「自動充電システム」を採用することで、カートのバッテリ充電にかかる時間を大幅に短縮し、作業時間やコストをさらに圧縮する効果を生み出しました。
「SmartCartの特長は、社内で一番の関心事となりました。わが社の多くの工場では、現状のマテハンシステムの替わりとなるソリューションを探していますが、コスト面まで考えた場合SmartCartに勝る搬送システムはありません」とWerkheiser氏は高く評価しています。

  • 各ステーションでパーツが順次組み付けられていく。

    2. 各ステーションでパーツが順次組み付けられていく。

  • トラクタのタイヤを取り付けるステーション。

    3. トラクタのタイヤを取り付けるステーション。

  • カートに設置されたリフタでトラクタを持ち上げて、作業しやすい姿勢で検査を実施。

    4. カートに設置されたリフタでトラクタを持ち上げて、作業しやすい姿勢で検査を実施。

  • 完成したトラクタを組立ラインの最終工程にある梱包・出荷エリアに搬送する。

    5. 完成したトラクタを組立ラインの最終工程にある梱包・出荷エリアに搬送する。

< DAIFUKU NEWS Special Editionより >